QDT 2025年1月号
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藤松 剛株式会社 STF/京都府長岡京市開田2-1-5 とみふじビル3F株式会社 STF Tokyo/東京都台東区東上野6-23-5 第二雨宮ビル1F 101 近年、IOS(Intra Oral Scanner)を導入する歯科医院が増加し、それにともない石膏模型を用いて補綴装置を製作する症例ではなく、IOSでスキャンされたデータに対して直接CADソフトウェアでデザインを行って補綴装置を製作する症例が増加している。その際は、基本的にミリングマシンによるミリング加工や3Dプリンターによる3Dプリントで製作され、なかでも現段階におけるクラウン・ブリッジ分野のデジタルワークフローにおいては、ミリング加工が主流となっている。このCADデザインを行ってミリング加工する工程においても、従来からのワックスアップを行って鋳造する工程と同様に、各工程で精度に大きく影響する要因が存在する。むしろ、デジタル技工と従来のアナログ技工を比較すると、デジタル技工の方が誤差の起こる要因に関係する工程が多いとも考えられる(図1)。 本連載では、デジタルワークフロー全般について2020年10月号から2023年3月号までの30回にわたり連載させていただいた内容の続編として、ミリング加工QDT Vol.50/2025 January page 0084にフォーカスを当てて、より進化した内容をお伝えしていきたいと考えている。筆者自身、以前の連載を執筆していた当時は乾式を中心にミリング加工の検証を行ってきたが、その後、湿式のミリング加工を多用することにより、さらに精度の高いミリング加工と幅広いマテリアルへのアプローチが可能となったからである。 また、現在の日本の歯科界におけるデジタル分野の論文や講演を見ると、IOSによるスキャンやCADデザインについて語られることが多いように感じるが、それらの領域は慣れることで対応できたり、一度学ぶことで対応できたりすることが多い。だが、本連載でフォーカスを当てるミリングマシンやCAMソフトウェアの領域はそう簡単ではなく、また、知識を身につけておかないと、これらの領域で生じた誤差の原因に気づくことができない。 今後、さらにIOSの普及が進むことにより、モデルレスやフルデジタルで完結する補綴装置製作が求めら第1回 デジタル化におけるミリング加工の重要性①再現性84はじめに連載Road to ModellessⅡモデルレス時代に向けてデジタル機器を使いこなすために

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