QDT 2025年3月号
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IOSにより「モデルレス技工」が実現したConventional workflow①配送されてきたダンボールの開梱(意外に慎重さを要し、時間がかかる)②印象への石膏注入③石膏模型のトリミング④分割模型の製作~支台歯トリミング⑤バイト材のトリミング~アジャスト⑥咬合器装着表1 従来法における模型製作。sion)」という尺度で評価するのが一般的である(ISO規格5725-1)。しかし、今回は「補綴装置の品質」、とくモデルカットテクニックを応用したIOSフルデジタルの勘所表2 表1の工程がIOS~フルデジタルになった場合。①IOSデータを受信するのみ43 「フルデジタル」というのは造語だが、ここでは「IOSでのスキャンからミリングまで、実物の模型を必要としない技工作業」と定義する。ただし、ミリング後の焼結やステイニングは依然としてアナログ作業が必要なため、「フル」という表現に若干の違和感を覚える方もいるかもしれない。 そんな「スーパー時短アイテム」といえるIOSだが、導入を検討する際に避けて通れないのが「精度」の問題となる。果たして、フルデジタルは従来法と比較してどの程度の精度を期待できるのだろうか? 精度を語る際には、「真度(trueness)」と「精度(preci-にクラウンの精度という視点から考察していきたい。 クラウンの精度を大まかに分類すると、以下の3つに分けられる。 いずれにせよ、従来法において症例数が多い日には、模型製作の工程(表1参照)だけで丸一日を費やすこともあった。この点を考えると、IOSが歯科技工士の作業効率の向上に大きく貢献していることは明らかであろう。①咬合状態②適合状態③隣接コンタクト状態 これらの評価において、基準となる比較対象は従来法である。従来法では、シリコーン印象の採得から超硬石膏模型の製作、その後のスキャンに至るまでの一連の工程が必要になる。 一方、フルデジタルでは、口腔内を直接スキャンするだけで済むという大きな違いがある。Digital workflowQDT Vol.50/2025 March page 0315フルデジタルの精度は従来法を超えるのか?精度への疑問─IOSは本当に使えるのか?

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