図3 上顎では臼歯部の顎堤が主な支持域(PS:る。図4 下顎では比較的平坦な顎堤部に加えて、頬棚と呼ばれる部位がPSとなる。primary support area)とな図2 義歯床はどこまで被覆するべきかを明確に答えるためには、まず義歯床の役割を正しく理解しておく必要がある。1.義歯床はどこまで被覆するべきか2.咬合力を分散する十分な支持域とは総義歯の主な支持域義歯床の役割とは?①人工歯を保持する②咬合力を粘膜面に分散する③機能時に義歯床辺縁全周が粘膜に接触することで辺縁封鎖による維持力を得る義歯床はどこまで被覆するべきか①咬合力を分散する十分な支持域を被覆しておく②機能運動を妨げない範囲まで辺縁を延長するPSPSPSPSQDT Vol.50/2025 April page 0475義歯床の役割と被覆するべき範囲34トレーラインに求められる要件69第4回 トレーライン 適切なトレーラインを記入するためには以下の項目について、あらかじめ理解しておくことが重要である。 義歯の床縁はどこまで延長すればよいか、あるいはどこまで被覆するべきかを明確に答えるためには、義歯床の役割を正しく理解しておく必要がある(図2)。 全部床義歯における義歯床の役割は、以下の3つだと考えられる。①人工歯を保持すること。②咬合力を粘膜面に分散すること。③機能時に義歯床辺縁全周が粘膜に接触することで辺縁封鎖による維持力を得ること。 そして、どこまで被覆するべきかを考えると、以下の2つがそのヒントとなる。①咬合力を分散する十分な支持域を被覆しておくこと。②機能運動を妨げない範囲まで辺縁を延長すること。 上記のように、義歯床の役割には咬合力を粘膜に分散することが挙げられるが、主に義歯を支える場所を支持域と呼び、上顎では主に臼歯部の顎堤、下顎では つまり、上記のような義歯床辺縁を印象で得るために、個人トレーによる精密な印象が必要となり、その臨床ステップが辺縁形成であるといえる。比較的平坦な顎堤部に加えて頬棚と呼ばれる部位が支持域となる(図3、4)。 つまり、義歯床はこれらの支持域を確実に被覆しておくことが求められる。
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