QDT 2025年5月号
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Note では、これらのリクエストをどのように形態デザインに反映させるのか。図1の①~④の項目を例に、その具体的な考え方を解説したい。 ここでは、形態変換の概念を先行させたいため、便宜上、歯冠サイズは固定して唇側面と隣接面の270°に作業領域を限定し、形態バリエーションがもつ可能性を探ることとする。計することはさほど難しくはないが、歯を小さく見せる場合は修復条件によっては難易度が上がり、形態変換のみならず前回述べたような錯視効果を必要とする場合も多い(図2~6)。審美修復に必要な臨床形態学(後編)歯を大きく見せたい場合47QDT Vol.50/2025 May page 0583Transformation①歯のサイズを変更したい②歯の出具合を改善したい③ブラックトライアングルを封鎖したい④歯の形を変えたい⑤〇〇さんのような歯になりたい⑥左右対称にしたい                   etc. 臨床上、歯のサイズ変更をリクエストする患者は比較的多く、近年の食生活の変化もあり、特に若い女性患者層に見られる。 サイズ変更の中でも、既存の状態から歯を大きく設図1 健康的な歯列であっても、色調のみならず形態への不満を抱いている患者は意外にも多い。図2 天然歯形態のうち、もっとも歯冠サイズが小さく見えやすいOvoidからの形態変換。Ovoid<Tapered Ovoid<Squared Ovoidの順に歯の見え方を変化させている。基本的に、歯肉が介在する歯頚部の形態を大幅に変換することは歯周組織との調和を乱す可能性が高いため、既存形態を尊重する。大幅に形態変換を行う場合は、固有唇面と隣接移行面のバランスに対しての調整を行う。Request ① 「歯のサイズを変更したい」

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