今後、われわれがデジタルワークフローの精度に対してどのような印象をもっていたとしても、業界のデジタル化の波は大きくなっていくであろう。それにともない、今以上にモデルレスでのデジタルワークフローが求められることも想像できる。精度の高いスキャンデータに完璧なCADデザインを行い、ベストなフィッティングパラメーターを設定したとしても、ミリング加工で台無しになる可能性もある。そうならないために、今月と来月で、ミリング加工について改めてまとめていきたい。藤松 剛株式会社 STF/京都府長岡京市開田2-1-5 とみふじビル3F株式会社 STF Tokyo/東京都台東区東上野6-23-5 第二雨宮ビル1F 101 筆者は10年以上前からデジタル技工に携わり、その中でもCAMソフトやミリングマシンを中心に研究や検証を行ってきた。デジタル技工においては、IOS、スキャナー、CADソフトがフォーカスされることが多い。確かにこれらはデジタル技工の入口として重要である。ただ、デジタル技工の出口をわれわれ歯科技工士の手作業による最終仕上げと位置付けるならば、CAMソフトやミリングマシンは、デジタル技工の入口と出口を繋ぐもっとも重要な要素になると考えている。「加工」の工程は、デジタルワークフローにおける「精度」の中枢である82第5回 ミリング総論(前編)QDT Vol.50/2025 May page 0618Digital Workflow図1 デジタルワークフローにおける「加工」の工程は、基本的にはミリングか3Dプリントの2択になる。CAMソフトと加工機を用いて、CADデザインを限りなく高い水準で再現するためには、加工の知識は重要である。連載Road to ModellessⅡモデルレス時代に向けてデジタル機器を使いこなすためにはじめに
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