歯科で用いられている3Dプリンターの例インクジェット式高強度フルカラー3Dプリントシステムの臨床応用図1 歯科で用いられている3Dプリンターは、ほとんどが工業界で使用されている機器を歯科に応用したものである。さまざまな価格帯や様式の3Dプリンターが市販されている。図2 歯科専用として開発されたPrimeprint(3Dプリンター)。Primeprint PPU(後処理装置)もセットで、3Dプリント、洗浄処理、光硬化を行うシステムである(デンツプライシロナ社ホームページより)。 3Dプリンターは、おもに三次元CADデータやCTデータなどの立体形状データを、三角形のパッチで近似化したSTL形式というポリゴンデータに変換し、それらを任意の間隔で断面化したのち、そのスライスデータ通りに材料を積み重ねていくことで立体物を造形する装置の総称である。近年、その技術は産業界のみならず多方面で大きな注目を集めている。医療だけで見ても、たとえば医科の領域では人工骨や人工関節などが整形外科で用いられ、手術用や教育用には臓器モデルが使用されている。また、周知のとおり、歯科ではクラウンやデンチャーなどに使用されるなど、多くの領域で展開されている。 そもそも3Dプリンターは、1988年に米国で最初に製品化され、その後、おもに工業製品の試作品製作のために使用されてきた。複雑な形状の試作品が迅速に得られることから、長期にわたり「ラピッド・プロトタイピング」と呼称されてきたが、2009年に国際的な規格団体(ASTM International)の標準化会議において、付加積層の方式が7種類に分類され、「アディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing」)という名称で統一されるよう取り決められた。同時に、2010年前後から低価格で小型の装置が数多く製品化され、これが既存の民生用二次元プリンターの三次元版というイメージもあり、一般的に「3Dプリンター」として定着してきた。 そして現在、歯科においては各種補綴装置などを製作する、重要なツールとなりつつある(図1、2)。45QDT Vol.50/2025 June page 07193Dプリンターの変遷
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