連載 義歯臨床の成功率を高めるBPS─その理論とテクニックを整理する─68ab図1a、b Ivoclar Vivadent社(以下Ivoclar社)が提供しているBPSのクリニカルプロトコルでは、閉口印象法が解説されている。 閉口印象採得の細かな術式については次回詳述する予定であるが、最初に大まかな流れについて解説しておきたい(図2)。 初めに、印象用トレーの辺縁の長さが長すぎないか、適切な範囲を覆えているかなどを確認する。続いて、咬合平面の確認を行ったのちに咬合させ、咬合高径および上下顎のバイトリムの接触状態を確認し、必要であればワックス等で咬合接触状態を調整する。 上顎の印象採得は、まず辺縁部にローフローのシリ BPSの閉口印象採得時の患者運動と、同運動により辺縁形成が行われる部位は図3、4のとおりである。 なお、図に示す運動はBPSにおける標準的な辺縁形成を行うための一例であり、術者あるいは患者の状コーン印象材を盛って口腔内へ挿入し、閉口させた状態で患者運動を利用して辺縁形成を行う。硬化後に口腔内から取り出して余剰部分をトリミングし、ウォッシュ印象を行う。フローの良いシリコーン印象材で同様に辺縁形成を行い、硬化後にトリミングする。 下顎の印象採得も上顎と同様の手順で行う。 上下顎の印象採得が終了したら、ナソメータMのパーツをバイトリムからゴシックアーチの描記板と描記針に交換し、ゴシックアーチを描記させ、顎間関係記録を行う。態によって多少の省略や追加、アレンジが行われる。重要なことは、可能な限り患者の機能時の筋活動量に応じた運動を行わせて、実際の機能運動に調和した義歯床辺縁を再現した印象を得ることである。3.Step 3:下顎印象採得BPSクリニカルプロトコルにおける閉口印象1.Step 1:トレーの確認・調整2.Step 2:上顎印象採得閉口印象採得の流れ閉口印象採得時の患者運動QDT Vol.50/2025 June page 0742
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