クラウドAI(人工知能)検査・診断ロボット作業の自動化ビッグデータ統計化機器どうしのデータ連携IOT(物のインターネット)MR(複合現実)感染対策VR(仮想現実)卒後教育AR(拡張現実)診療補助5 G外部とのコミュニケーションAIの進む方向BIGデータ データ■クラウドに蓄積されたデータとその展開■ AIの進む方向企画趣旨 歯科医学は自然科学の一分野であると同時に、その知識を患27QDT Vol.50/2025 August page 0949(編集部)者の口腔内において実践に移すためにはフィジカルな手技の研鑽と、臨床経験の積み重ねが不可欠となる。どの手技を行うにあたっても、若手とベテランでは経験の差が結果を左右することは否定できず、そのために技術を伸ばし、差を埋めるためのセミナーや講演会、そして書籍・雑誌類が無数に存在している。 しかしこうした中で、やはり多くの臨床医の心に響くのが実際の臨床例に基づいた症例相談なのではないだろうか。そこでは、現代を生きる歯科医師として、十分な知識を備えて目の前の患者に最善を尽くした症例が提示される場合がほとんどであるが、それでも年長の歯科医師からすれば指摘すべき事柄も生じてくる。ラーニングカーブで上位にある立場からの助言には多くの気づきや追体験があると同時に、ラーニングカーブの角度をより高める効果があると考えられる。また、若手歯科医師がトライアンドエラーから学ぶことは非常に多いが、実際の臨床においてはエラーを可及的に少なくすることが当然求められるため、先達の言葉やアイディアは受診する患者にとってもたいへん貴重である。 そこで本企画では、かねてから講演・執筆多数の荒井昌海先生をホストに迎え、卒後 5 年以内の若手歯科医師に焦点を当てたプロジェクト“growing up”の中から選ばれた 2 名の若手気鋭歯科医師のケースプレゼンテーション&相談に対し、荒井先生が答えていくスタイルの座談会を通じて上記を表現したい。また、時宜にあわせたデジタルの知識および、補綴治療のパートナーとして必須の歯科技工士の意見も取り入れることで、より多角的な、「QDT」ならではの企画とさせていただければ幸いである。 議論になります。ただ、間違いなく言えることは、「AIを使う人が、AIを使わない人から仕事を奪うようになる」という点です。これは確実に起こるので、もし皆さんが「AIを使わない」という選択をしてしまうと、仕事はどんどん減っていくことになるでしょう。 AIの進化の流れについてですが、まず「データ」が集まり、それが「ビッグデータ」となります。これにより最初のAIが生まれました(図 1)。 その後、ディープラーニングによって「推論」、すなわち予測が可能になりました。ディープラーニングの次の段階が、現在私たちが目にしている「生成AI」であり、新しいものを創り出すことができるようになりました。AというデータとBというデータから、Cという図 1 AIの進む方向。データの集合がビッグデータとなり、最終的にはASIにまで進化する。新しいものを生み出すのが生成 AIです。 これで終わりではありません。 この後には「AGIきます。これは、何でもこなせるAIです。現在はたとえば技工用AIといえば技工しかできません。技工用AIに道を聞いてもわかりません。しかし、今後登場する汎用性のあるAIは、ひとつのAIに何を聞いても答えられるようになるでしょう。 その上には「ASI(Artificial Superintelligence)」が来ます。これは、人間70億人の知能総和の 1 万倍賢いAIだといわれています。 このビッグデータはすべてクラウド上に蓄積されています(図 2 )。クラウドにデータがあることで何がで座談会 若手歯科医師と学ぶデジタル時代の歯冠修復チェックポイント図 2 クラウドにデータがあることで、さまざまなAIベースのサービスが展開されていく。(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)」がやって
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