ecnedveili ?euqnhcetrofsihtatnederehtsI臼歯部インプラント補綴装置の宿敵は、またもや“ 力 ”だったたった1.4mmの咬合面の幅の差によってネジは緩む連載 その歯科技工に根拠はあるの? ─今日から役立つ補綴治療のエビデンス─髙瀬 直Dental Labor Gross東京都渋谷区神泉町16-14 サンフォンテーヌ渋谷101 前回はインプラントの失敗原因についてのお話でしたが、何も失敗とはインプラントの脱落や周辺骨の喪失だけがすべてではありません。シンプルに、インプラント補綴装置が壊れることも患者さんにとっては「目に見える失敗」になるでしょう。 ご存知の通り、インプラントには天然歯のような歯根膜がありません。つまり「衝撃を吸収してくれるクッション」 2001年のin vitro試験では、咬合テーブル幅を9.8mmから8.4mmへと1.4mm 狭めただけで、スクリューの緩みが大幅に減少されたと報告しています 1 。これは、テーブル幅が広がることで咬合点がインプラントの中心軸から離れ、回転モーメントが増大。結果として、スクリューが次第に緩んでいく……、そんな連鎖が始まることを示唆しています。 2015年の有限要素解析でも、天然歯頬舌幅の60~70%に82が存在しないということ。その力をコントロールする「咬合面」の設計方法については、読者のみなさんも非常に関心が高いのではないでしょうか。 そこで今回は、1995年以降に報告された研究 8 報(in vitro試験× 3 、有限要素解析× 2 、総説× 3 )をもとに、臼歯部インプラント補綴装置の咬合面形態が引き起こす“力のドラマ”を紐解いていきます。あたるテーブル幅の場合が、インプラント周囲骨に与える応力がもっとも低かったと報告しています 2 。 これらの研究から導かれる咬合面の設計を考察するに、「天然歯のコピーを作るのではなく、クッションなき構造に対して最適化された咬合面を設計すること」が推奨されそうです。「咬合面もとにかく天然歯らしく!」という美意識は、場合によっては見直すべきなのかもしれません。第 3 回 臼歯部インプラント補綴装置の咬合面は天然歯と一緒でよいの? ─臼歯部インプラント補綴は力学を考えなくてはいけないらしい─QDT Vol.50/2025 September page 1142連載その歯科技工に根拠はあるの?─今日から役立つ補綴治療のエビデンス─
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