QDT 2025年10月号
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Mandibular two-implant overdentures as first choice standard of care for edentulous patientsFeine JS, et al. Montreal, Quebec, May 24-25, 2002. Int J Oral Maxillofac Implants. 2002 Jul-Aug;17( 4 ):601-2.QDT Vol.50/2025 October page 1229Esthetic LineIODにおけるアタッチメント選択の基本原則―臨床でのトラブルを防ぐ基礎知識―(前編)無歯顎ボーンアンカードブリッジIOD図 2  McGillコンセンサス 2 において、 下顎無歯顎患者へのファーストチョイスは 2 本のインプラントを使用したIODであると報告されている。図 1  失われた口腔組織を回復するIODは、リップサポート・フェイシャルサポートなど、審美性の回復にも有用である。(図 2 )。とくに、下顎前歯部にインプラントが埋入さ文献からみるIODの有用性39The McGill consensus statement on overdentures下顎無歯顎症例の補綴治療におけるファーストチョイスは、2 本のインプラントで支持する可撤性オーバーデンチャーである▲ 2 本のインプラントで十分に機能し、高い患者満足度を得られる無歯顎患者における補綴治療 冒頭で述べたとおり、IODは無歯顎患者に対する選択肢のひとつとして広く普及している。IODは従来の粘膜支持義歯と比較して、以下の点において顕著な利点を有する。・義歯の安定性が向上する・咀嚼機能が改善される・顎堤の吸収が抑制されるこれらの効果により、患者のQOL(生活の質)は大きく改善される。 2002年のMcGillコンセンサス 2 および2009年のヨークコンセンサス 3 においては、下顎前歯部に 2 本のインプラントを埋入して義歯の維持を図るIODが、無歯顎患者に対する第一選択肢であると報告されているれたIODにおけるインプラントの生存率が顕著に高かったという報告もある 4 。同時に、インプラントが埋入されていることによって顎堤の骨吸収が抑制されることも多くの研究から明らかにされており 5 、これらもIODの長期的安定性の裏付けとなる。 このように、IODの有用性は多くの文献からも読み取ることができる。 McGillコンセンサスやヨークコンセンサスにもあるように、少数のインプラントであっても義歯の機能性と快適性を向上させる点にIODのメリットがある。しかし、それゆえに義歯とインプラントの接点となるアタッチメントの存在が極めて重要な役割を担っている。そのため、症例ごとに異なる条件に応じて適切なアタッチメントを選択することが、IODの成功に直結すると言える。

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