ab19れたため、歯冠長延長術を実施し、エマージェンスプロファイルの修正を図る方針とした。補綴マテリアルは、患者の咬合関係およびシングルセントラル症例における色調再現の難易度を考慮し、ジルコニアセラミッククラウンを選択した。 歯冠長計測の結果、₁ の歯冠長を 1 mm延長する必要があった。術前に局所麻酔下でボーンサウンディンは 3 mmであることがわかった。切除療法後に生物学的幅径を 3 mm確保するためには、 1 mmの骨削除が必要である。しかし、骨削除をともなう外科処置に対して患者の同意を得ることができなかった。今回、角化歯肉の厚みも十分であり、歯肉切除後に骨頂から歯肉縁までの距離が 2 mm確保できるため、歯肉切除のみで対応できる BTAテクニックを応用することとした。 前項で示した「BTAテクニック」とは、歯肉剥離や骨削除をともなう大掛かりな外科手術や矯正歯科治療を行わずに歯肉ラインを整え、後戻りもせず、長期的に歯肉を健康に維持できる支台歯形成および補綴装置製作のコンセプトである 4(図 4 )。a.BTAテクニックの手順① 審美的な観点およびbiologic widthを考慮し、設② 支台歯形成時のフィニッシュラインは、歯肉切除し③ 補綴装置(ラミネートベニア、クラウン)は、マージン定した歯肉ラインの位置で電気メスを用いて歯肉切除を行う。た高さに揃える。その後印象採得を行う。部を歯面にほぼ垂直に立ち上げ、歯肉創面とほぼ同3 )BTAテクニック(Biological Tissue Adaptation Technique)について直接修復と間接修復の融合による前歯部審美修復戦略(後編)図 2 初診時のパノラマエックス線写真。■症例 2 :術前■症例 2 :ボーンサウンディング図 1 初診時の口腔内正面観。図 3 a、b 局 所 麻 酔 下 で ボ ー ン サ ウ ンディングを行った。グ(図 3 )を行ったところ、歯肉縁から骨縁までの距離QDT Vol.50/2025 November page 1331
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