Case 1 マグネットアタッチメントを使用した上顎 IODstep 1 インプラントの埋入計画Column 既製のマグネットアタッチメントが適合しない場合の対応図 1 完成義歯を想定した人工歯排列のデータを重ね合わせてインプラントの埋入計画を行い、サージカルガイドを製作する。図 2 既製のマグネットアタッチメントが適合しないインプラントの場合、カスタムアバットメントにキーパーが乗る窪みを形成し、その上でマグネットキーパーをレジンセメントで固定する(別症例参考写真)。 患者は66歳男性。下顎にはフルアーチの固定性インプラント補綴装置が装着されていたが、咬合力はとくに強くはなかった。上顎の補綴治療においては、審美的要求(リップサポートの確保)と経済的負担の軽減を考慮し、固定性補綴装置ではなくIODが選択されることになった。 インプラント埋入前に新製義歯を想定した人工歯排列を行い、補綴スペースの確認をした。上顎右側側切歯部に骨幅が不足していたため骨造成も検討したが、外科的侵襲を考慮してその部位を避けた設計とした。咬合状態に問題がないことを確認し、ストローマン・ジ ャ パ ン の ス タ ン ダ ー ド イ ン プ ラ ン トRN(直 径4.1 行い(図 1 )、サージカルガイドを製作してインプラントを埋入した。 また、旧義歯は口蓋を広範囲に覆う構造で強い異物感を訴えていたため、IODは口蓋部を排除した無口蓋義歯を製作する方針となった。 口腔清掃状態は良好であったが、設計時にはインプラントへの側方力が過度に作用しないよう配慮する必要がある。QDT Vol.50/2025 November page 1352Feature article #2mm、長さ10 mm)を使用したインプラント埋入計画を 既製のマグネットアタッチメントが適合しないインプラントの場合、まず、マグネットキーパーを装着できる 窪 み を も つ カ ス タ ム ア バ ッ ト メ ン ト を 製 作 す る(図 2 )。次に、そのアバットメント上にマグネットキーパーを正確に位置決めし、レジンセメントを用いて接着・固定する方法で設置を行う。この手順により、既製品が適合しない場合でもマグネットアタッチメントの使用が可能となる。ただし、この方法はカスタムアバットメントのスクリューホールを完全に封鎖して固定するため、撤去時にはキーパーを破壊する必要がある。40
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