62連載 義歯臨床の成功率を高めるBPS─その理論とテクニックを整理する─BPSBPS連載BPSにおける人工歯の変遷と咬合様式第11回義歯臨床の成功率を高めるBPS義歯臨床義歯臨床のの成功率成功率をを高めるBPS高めるBPS―その理論とテクニックを整理する――その理論とテクニックを整理する―はじめにBPSにおける人工歯の重要性 前回(10月号)は、前歯排列試適のステップについて私見を交えながら解説した。臨床ステップとしては、続いて臼歯人工歯を選択し、排列していくことになる。 現在販売されているBPSで用いる人工歯の選択については、第8回(8月号)で簡単に述べた。今回は、BPSにおける臼歯人工歯の形態の変遷や咬合様式について解説したい。 BPSにおいて、人工歯はとても重要な存在である。その理由については第1回(1月号)でも述べたが、BPSの成り立ちに強く結びついている。 BPSのもととなる理論を構築したRainer Strackは、咀嚼中の下顎運動に関して多くの側面からアプローチを行った結果、次のように述べている。“ 下顎運動は実に複雑であるが、咀嚼運動の歯の接触相における協調的な動きは中心付近の狭い領域で起きている”“ 義歯の安定を得るためには、顆路の影響を過大に評価する必要はなく、人工歯の咬合面の形態が重要である” そして彼は、人工歯による咬合接触やガイドを重視して義歯を安定させるというコンセプトを考案し、歯科技工士のEugen SchlaichとともにTypodensという人工歯の開発を行っている(図1)1。そして、その松田謙一 Kenichi Matsuda歯科医師:医療法人社団ハイライフ 大阪梅田歯科医院大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座 臨床教授大阪府大阪市北区梅田2-6-20 パシフィックマークス西梅田2FQDT Vol.50/2025 November page 1374
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