ecnedveili ?euqnhcetrofsihtatnederehtsIQDT Vol.50/2025 November page 1394が接触している人はそれなりにいますし、わざわざ削る必要もない気がしてきます。 今回はそんな咬頭干渉について、近代エビデンスを基に紐解いてみましょう。書では、たとえば非作業側の干渉について「顎関節症の症状がないなら削らないほうが良いよ」と明記しています 3 。 逆に、症状がある場合はどうでしょう。たとえば、健康な28本の歯を有するものの筋痛症状のある被験者群に対し、システム的に側方干渉を咬合調整した研究があります。それによると、咬合調整をされた被験者群は下顎の動きがスムーズになり、筋肉の緊張や痛み、精神状態までもが改善したとのこと 4 。また、歯ぎしりをともなう睡眠障害を抱える患者においても、咬頭干渉を除去することで優位に睡眠の質が向上したそうです 5 。実際に症状が出ている患者に対しては、咬合調整は有効かもしれません。第 5 回 咬頭干渉って咬合調整して良いの? ─臼歯部側方接触にまつわるエトセトラ─「臼歯の咬頭干渉は良くない!」と言うけど実際はどうなの?咬頭干渉をつけたり、なくしたりしたらどうなった?連載 その歯科技工に根拠はあるの? ─今日から役立つ補綴治療のエビデンス─髙瀬 直Dental Labor Gross東京都渋谷区神泉町16-14 サンフォンテーヌ渋谷101 補綴治療でよく耳にするのが、「咬頭干渉させないように」というセリフ。とくに非作業側干渉はトラブルの元凶とされています。でも本当にそうなのでしょうか? 天然歯列ではフルバランスドオクルージョンのように大臼歯①咬頭干渉を付与してみた! ある研究では、健康な臼歯にレジンを添加して人工的に干渉させたところ、下顎運動にズレが生じ、顎関節の位置や筋肉の活動パターンに変化が出たとのこと 1 。非作業側の干渉では咀嚼性能にも影響し、食べ物を細かく砕く力が低下したそうです 2 。しかもこの状態、本人的には自覚があまりないらしいのです。咬頭干渉は「自覚のない負担」を静かに積み重ねるものなのかもしれません。②咬頭干渉を除去してみた! 「症状がないのに天然歯を削るのは怖いな……」と悩んだ経験、ありませんか? 確かに2021年のコンセンサス文82連載その歯科技工に根拠はあるの?─今日から役立つ補綴治療のエビデンス─
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