39モノリシックジルコニアにおける明度コントロールの一提案松田健嗣株式会社greKen dental lab:愛知県名古屋市昭和区鶴舞3-1-15 セントラルハイツカシノ2FFeature article #2 以前まで、モノリシックジルコニアで補綴装置を製作する症例は臼歯部がメインであり、前歯部に使用する場合においては両側中切歯や4前歯、6前歯など、色合わせをともなわない症例がほとんどであった。しかし昨今では、経済性も含めた患者の要望やチッピングリスクを軽減する目的などから、色合わせをともなう前歯部少数歯修復症例でも選択する機会が増えてきていると感じている。 しかし、とくに前歯部の色合わせでモノリシックジルコニアクラウンを製作する場合、明度不足が問題として挙がりやすい。ジルコニアディスクやステイン材などの材料も進化を続けており、また、モノリシックジルコニアクラウンが臨床応用された当時と比較するとステイニング技術も大きく発展したと感じるが、それでも築盛用陶材と比較して明度コントロールが非常に困難であることは未だ現実である。 筆者はこの問題に対し、シンタリング前のジルコニアに塗布するカラーリングリキッドを用いて一定の明度コントロールを行うことで、自然感を損なわずに安定したクオリティで補綴装置が製作できるのではないかと考え、臨床でも実践している。 そこで本稿では、筆者が本法を考えるきっかけとなった失敗ケースを提示後、臨床応用に至るまでに行った検証結果の分析、そして、その分析を踏まえて筆者が実際に行っているカラーリングリキッドを使用したモノリシックジルコニアクラウンの明度コントロールの方法を紹介したい。はじめにQDT Vol.50/2025 December page 1473
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