ザ・クインテッセンス 2024年11月号
4/9

a図18a~c a:クレセントナイフ(東京歯材社).b:ミニクレセントナイフ(東京歯材社).c:トンネリングインスツルメント(マイクロテック).図19 エンベロップの形成の際には,歯根部分の凹凸に注意する.図21 ミニクレセントナイフで慎重に切開を行う.拡大視野下で行うことによってエラーが少なくなる.図20 歯肉弁を穿孔しないように注意しながら切開を進め,プローブを用いてトンネルが形成されていることを確認する.the Quintessence. Vol.43 No.11/2024—236767bcき,それよりも小さければCAFなどのオープンアプローチを推奨している. 本症例のARRは0.77以上であり,トンネルテクニックで完全根面被覆が期待できる(図17).初心者には難しいとされているクローズドアプローチであるが,歯肉退縮量が小さく,単独歯であればCAFよりもむしろ簡単であると筆者は考える.以上のことから,本症例は単独歯にエンベロップテクニック(単独歯に対するクローズドアプローチはトンネルテクニックではなく,エンベロップテクニックと呼ぶ)を行うこととした. クレセントナイフ(東京歯材社)を用いて歯肉溝内エンベロップの形成ステップ1 エンベロップの形成Movieステップ1深さは1.5mm,歯肉の厚みは薄く,角化歯肉の幅は1mm以下であった.CEJ,段差ともに存在している(図15). 次に術式の選択を行っていくが,オープンアプローチとクローズドアプローチのどちらを選択するかについては,さまざまな要因を考慮する必要がある.Thalmairら17は歯肉退縮量が4mmを越えると,トンネルテクニックでの完全根面被覆率が著しく低下すると報告している. またAslanら18は,近心の乳頭+CEJの長さ+遠心の乳頭の長さを近心の乳頭+退縮した部分の長さ+遠心の乳頭の長さで割った値であるARR(anatomic recession ratio)を計算し(図16),0.77以上であればトンネルテクニックでCRC(完全根面被覆)が期待で

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る