ザ・クインテッセンス 2024年11月号
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須貝昭弘*/片岡大輝*1/須貝将舟*1/前田玲奈*2*神奈川県開業 須貝歯科医院/*1神奈川県勤務 須貝歯科医院/*2神奈川県勤務 ラボ森嶋*代表連絡先:〒212‐0016 神奈川県川崎市幸区南幸町2‐8‐101Akihiro Sugai, Hiroki Kataoka, Masafune Sugai, Reina Maedaキーワード:小児矯正,口腔内スキャナー,拡大床装置Utilizing Intraoral Scanner for Pediatric Orthodontics80the Quintessence. Vol.43 No.11/2024—2380 子どもたちの咬合育成を行っている医院では歯列模型を製作する機会が多いであろう.従来法としてアルジネート印象材を使用した印象採得(以下,従来法)を行い,石膏模型を製作するのが一般的であり,印象採得を嫌がる子どもたちを相手に苦労しているスタッフも多いのではないだろうか. 初めて口の中に粘土のようなものが入り,固まるまでしばらく口を開けながら喉の奥に流れ込む印象材を止めていなければならないので,従来法での印象採得は子どもたちにとっては苦痛でしかない.とくに鼻呼吸のできない子は大変で,印象採得時に吐いてしまう子や,手で取り払ってしまうような子もいる.拡大床などの床矯正装置を製作するには印象採得が必須であるので,今までは,前述したような従来法での印象採得ができない子どもには,印象トレーやシリコーン印象材のパテを持ち帰って自宅で練習してもらうなどで対応していた. 当院では主に歯科衛生士が印象採得を行っており,嫌がる子どもたちの泣き声や,嘔吐する音などが聞こえてくるのが大きなストレスになっていた.万が一,嘔吐して印象材や嘔吐物を喉に詰まらせて窒息などが起こったら取り返しのつかないことになるので,無事に印象採得が終わるまでは他の治療を行いながらも気が気でない時間を過ごしていた. そんなとき矯正装置製作をお願いしている歯科技工所から口腔内スキャナー(以下,IOS)のデータで装置が製作できる体制が整ったという情報をいただいた. 間接法の各ステップにこだわって補綴装置を製作してきた今までの臨床からすると,IOSを使用した補綴装置製作にはあまり興味をもてずにいたが,子どもたちの印象採得時のストレスから解放されるなら,という思いでさっそくIOSを購入し,使用しははじめに特 集 3小児矯正の印象採得にIOSを活用する

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