はじめにthe Quintessence. Vol.44 No.2/2025—0242中切歯2歯欠損であれば,切歯乳頭が存在することによってそれを乳頭の再建に利用できることや,比較対象となる健全歯がないことから,中切歯・側切歯連続欠損と比べると難易度は低い. また,側切歯の幅径が平均7.07mmと小さいことから2,インプラントを2本埋入する場合は水平的なスペースが狭く,インプラントが近接し,審美障害を生じるリスクが高い3,4.対応策としてカンチレバーブリッジを用いる方法があり,この治療法はインプラントの隣接が回避でき,期待される乳頭の位置を高くすることができるため有用である4,5. 本稿では中切歯・側切歯連続欠損における,前歯部インプラント治療を審美的に仕上げるための硬・軟組織のマネジメントについて解説していく.大杉和輝 インプラント治療は欠損補綴において高い機能性を発揮し,他の治療法と比較して患者のQOLを大きく改善する可能性をもっている1.しかし,前歯部における多数歯欠損,とくに2歯連続欠損において審美性を獲得することは,現在のインプラント治療のなかでももっとも難易度の高い治療のうちの1つである.さらに,周囲組織の欠損をともなう場合,患者が再び自信をもって生活できるような治療結果を得ることはさらに困難となる. 上顎犬歯間での2歯連続欠損を考えると,中切歯・側切歯連続欠損がもっとも困難と考えられる.Kazuki Osugiキーワード:硬・軟組織マネジメント,前歯部2歯連続欠損,インプラント治療Hard and Soft Tissue Management for Esthetics in Anterior Dental Implants40三重県開業 大杉歯科医院連絡先:〒510‐0303 三重県津市河芸町東千里175‐2特 集 1中切歯・側切歯連続欠損への対応を見据えたにおける前歯部インプラント治療のゴール硬・軟組織マネジメント
元のページ ../index.html#1