the Quintessence. Vol.44 No.2/2025—026462キーワード:ホワイトスポット,白斑病変,外傷,MIH,歯のフッ素症,低粘性レジン浸潤法 “ホワイトスポット”という言葉を聞いたことがない歯科医師は存在しないだろう.しかし「ホワイトスポットの定義や病因,治療法は?」と問われると明確に答えられる歯科医師は数多くはないのではないだろうか. 「ホワイトスポットは初期う蝕である」「ホワイトスポットはフッ化物を塗布すると消えることがある」といわれることがあるが,これらは必ずしも正確ではない.なぜなら,ホワイトスポットという用語自体が非常に曖昧で,ホワイトスポットとよばれるもののなかには非脱灰性の白斑1ともよばれる,う蝕によらないものも数多く存在し,フッ化物の効品川淳一果が期待できないことも多いからである. これまで断片的にしか認知されていなかったホワイトスポットであるが,近年,審美歯科領域においてもminimal intervention(MI)の概念が浸透し,ホワイトスポットを低侵襲かつ審美的に治療する試みが世界的に多数行われるようになってきた.その過程においてホワイトスポットの病因論も整備されつつあり,いまだ混乱はあるものの一定のコンセンサスが得られてきている. 本稿ではホワイトスポットを徹底的に深掘りし,ホワイトスポットの最新の定義,病因,治療法について解説する.これにより明日,読者の医院にホワイトスポットが主訴の患者が来院しても,自信をもって対応できるように,正しい知識を共有したい.Basic and Clinical of White SpotsJunichi Shinagawa東京都開業 上野品川歯科・矯正歯科連絡先:〒110‐0005 東京都台東区上野6‐16‐21‐8F特 集 2はじめにホワイトスポットのホワイトスポットの基礎と臨床基礎と臨床
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