ザ・クインテッセンス 2025年2月号
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光水水光水コード0コード1コード2コード3屈折率コード41.62コード51.33コード6ホワイトスポット象牙質ICDAS基本コード(図1).屈折率健全エナメル質1.621.33空気1.00the Quintessence. Vol.44 No.2/2025—026563エナメル質ホワイトスポット象牙質健全エナメル質図1図2図3 本邦において,歯の一部が白く不透明になった状態を,総じて「ホワイトスポット」とよぶことが歯科界だけでなく一般的にも広く普及してしまっていることが,この症状の正確な認識をおおいに妨げてしまっていると筆者は考えている. そこで,まずは“ホワイトスポット”の定義について考察していきたい. そもそも,歯はなぜ白濁してしまうのだろうか. 光を通す物質には固有の屈折率があり,屈折率の違う物質どうしの境界では,光の屈折が起こる.空気の屈折率は約1.00,水の屈折率は約1.33,健全エナメル質の屈折率は約1.62であるといわれており,これらの違いが歯の白濁に影響している2.白濁のある部分のエナメル質は無機質が少なく空胞化している状態であり,唾液によって歯が湿潤している状態では,その空胞になっている部分に水分が浸透している.これにより健全エナメル質と白濁部では屈折率が変わるため,光の屈折が起きて白く見える さらにInternational Caries Detection and Assessment System3(以下,ICDAS)コード1(図2)のように,一般的にホワイトスポットは乾燥すると白さが強調される.これは乾燥によりその空胞内の水が空気と置き換わり,さらに屈折率の差が大きくなるため,より白く見えるといわれている(図3).図1 ホワイトスポットの原理.屈折率が関係している.図2 国際的なう蝕の診断基準であるICDAS.白斑病変はコード1とコード2に分類される.図3 乾燥によってエナメル質内の水が空気と置き換わり,屈折率の差が大きくなると,より白く見える.なぜ,歯が白濁するのか?原理1.ホワイトスポットとは?健全エナメル質における目視可能な初期変化(持続的なエアー乾燥後に限って観察されるか,あるいは小窩裂溝内に限局)エナメル質の著明な変化限局性のエナメル質の崩壊(象牙質への侵攻を示す肉眼的徴候はない)象牙質への陰影がある著明なう窩,象牙質は目視可能拡大した著明なう窩,象牙質は目視可能エナメル質空気

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