the Quintessence. Vol.44 No.2/2025—029391tronic apex locators,以下EALs,図1)を用いて,解図1 ルートZX mini(モリタ).福西:われわれ5-D ジャパンでは作業長終末位を決定するうえで,まずは電気的根管長測定器(elec-剖学的根尖孔の位置を測定します.EALsでのapexは,高い信頼度をもって解剖学的根尖孔を示すことがわかっています1.根尖部に細菌が存在しない抜髄の場合は,Kuttlerが報告した2解剖学的根尖孔から生理学的根尖孔までの平均距離を参考にして,そこからわずかにアンダーな部位を作業長終末位としています.一方,感染根管では根尖部まで細菌が及んでいることに加えて,多少なりとも根尖部が吸収しているため,生理学的根尖孔はすでに失われていると考えています.そのため,解剖学的根尖孔に近い部位を作業長終末位としています. その手法で作業長を正確に測定するためには,まずは解剖学的根尖孔をEALsで探索します.このとき,どうしても細いファイルでペイテンシー(穿通)することが避けられないと考えていますが,リクッチ先生は,つねづねペイテンシーを行わないことを提唱されています.その理由は,根尖周囲組織の損傷を防ぐためでしょうか? 根尖孔外へ感染を拡大するリスクが大きいからでしょうか? ペイテンシーに関する見解をお聞かせください.リクッチ:どちらもそのとおりです.ペイテンシー電気的根管長測定器(EALs)帰ファイリング,以下Recap)です.Recapとは,#25,という考えは,過去にBuchananが提唱し,切削片の根詰まりを防ぐ目的で行われていました.根詰まりを防ぐ目的なら,他の方法で防ぐことができます.それは,リキャピチュレーション(recapitulation;再30,35と根管拡大を進めていく過程で,各ファイルの使用が終わると根管洗浄を行い,1つ手前のファイルを使用することです.福西:Recapの位置は,作業長の位置でしょうか.リクッチ:そうです.正確な作業長の位置です.それを超えてはいけません.ペイテンシーをしたとしても細菌がいなければ,もちろん治癒します.私は根尖周囲組織を,できる限り最小の損傷にとどめておきたいというコンセプトをもっています. もう1つのペイテンシーのリスクは,インスツルメントを根尖孔外に押し出すと,細菌コロニーを押し出す可能性も高くなります.根尖孔外に細菌を押し出すと,別の問題が起こります.そうならないようにしなければなりません.石川:リクッチ先生のペイテンシーを行わないコンセプトに関して,よく理解できました.では,リクッチ先生は臨床において,作業長終末位をどの位置に設定していますか.術前が生活歯髄か壊死歯髄か,あるいは既根管充填歯でも根尖病変の有無など感染根管の根尖部拡大1
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