QA相談者S.Yさん26歳,勤務医回答者 福場駿介 われわれ歯科医師は,卒前教育から“くち”の中を見て,病気を見つけ,診断に基づいて適切な治療を行う訓練をしてきました.歯周治療では歯周ポケットの深さやPCR(プラークコントロールレコード)といった数値に基づいて,歯周基本治療を行っていきます.それは決して間違っているわけではありませんが,必要な治療のすべてを患者さんが望んでいるとは限りません.歯周基本治療時,PCRの数値が悪い患者さんに口腔衛生指導を行っていますがなかなか改善していきません.患者さんのプラークコントロールを改善するためには何を工夫すればよいでしょうか?POINT1 “ひと”をみる─正面観は多くを語る─ セルフケアの向上は決して容易ではありません.なぜなら,患者さんの日常生活のなかに踏み込み,行動変容させる必要があるからです.いちばん大事なことは,なぜその患者さんのセルフケアが向上しないのか,原因を考えることです.POINT2 患者さんのタイプ分類に応じた個別対応本連載の趣旨:本連載では,主に卒直後から卒後数年の若手歯科医師が日頃の臨床で出会うであろう疑問点について,Q&A形式で解説していく.クエスチョンの分野は多岐にわたるため,その分野に造詣の深い“歯科医師の先輩”が各回でそれぞれ回答していく.the Quintessence. Vol.44 No.2/2025—0324122122キーワード:歯周基本治療,プラークコントロール,セルフケア “くち”は,患者さんの健康観,デンタルIQ,口腔内への関心,食生活を写す鏡であるといえます.そこから患者さんの“ひととなり”をみていく心構えが必要です.単に“くち”の中を見るのではなく,どのようなバックグラウンドや価値観をもっているかなど,患者さんの全体像を理解する姿勢が大切です. 筆者は患者さんのセルフケアに関する特徴を以下東京科学大学口腔再生再建学分野連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐45第2回:歯周治療編01Question &Answer知りたいけど今さら聞きづらい疑問に答えます!歯科臨床STEP UPアドバイス
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