る3.幅3.6 ~3.8mm減少度に骨吸収が進行した抜歯窩であれば,歯槽骨の減少は促進される.また,通常の抜歯であっても頬側歯槽骨が薄い場合であれば(とくに日本人は頬側歯槽は必至である.近年,抜歯後の歯槽骨量減少を軽減するための歯槽堤保存術(alveolar ridge preserva- 筆者らの臨床においても,この10年間でARPのプロトコルとして良好な結果が得られている.そこで本稿では,ARPに関する概念,使用する材料および術式について解説したい. 抜歯は,歯槽骨量の変化をもたらす生物学的後遺症を引き起こし1,抜歯後の歯槽骨の喪失はインプラント治療を難しくする最大の要因となる.抜歯をした場合は,最初の数か月で治療過程の吸収によって,歯槽骨の高さは1~3mm,幅は3~5mm失われ,歯冠側1/3の吸収が3か月以内に生じることが示されている2.ARPを行わなかった初期の研究では,歯槽骨の幅が約50%減少し,この変化の大部分は抜歯後3か月以内に起こったと報告してい Van der Weijdenら4(2009年)によるシステマティックレビューでは,抜歯後の歯槽骨量減少が定量化されている.全体として,ARPを行わなかった場合,頬側骨中央部の高さは平均1.67mm減少し,幅は平均3.87mm減少した. これらの平均値は,部位別に分析するとさまざまである.Couso-Queirugaら5(2021年)によるARPを行わなかった場合の治癒に関するシステマティックレビューによると,大臼歯では骨幅が平均3.61mm失われたのに対し,非大臼歯での骨幅の喪失量は2.54mmであった.頬側骨の高さは,大臼歯で平均1.46mm,非大臼歯では1.65mm減少した. これらの研究結果から,抜歯後にARPを行わないと,歯槽骨量の幅は3.6~3.8mm減少し,高さは1.4~1.6mm減少すると理解できる(図1).the Quintessence. Vol.44 No.4/2025—064939抜歯後にARPを行わないと……高さ1.4 ~1.6mm減少抜歯後の組織変化図1 抜歯後にARPを行わないと,歯槽骨量の幅は3.6~3.8mm減少し,高さは1.4~1.6mm減少する.骨が薄いため),必然的に歯槽骨の幅が減少するのtion;ARP)について多数報告されている.
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