2)OSA患者のスクリーニング1)歯科衛生士が担う役割the Quintessence. Vol.44 No.4/2025—0679691. 歯科衛生士と取り組む睡眠歯科治療睡眠歯科治療の効果未診断の潜在性のOSA患者の割合ポートを行うことのできる重要な役割を担っている. 本稿では,歯科医院が一丸となって睡眠歯科治療に取り組むことを目的とし,歯科衛生士が歯科医師と連携して取り組む睡眠歯科治療の流れ,OSA患者のスクリーニングのために必要な基礎知識とその方法,OSAの精査診断のための睡眠時無呼吸検査を説明するために必要な知識と検査の具体的な流れ,睡眠の質を向上させるために必要な睡眠衛生指導の具体例について解説する. 歯科衛生士は,日常的に患者の口腔内の状況を観潜在性のOSA患者約80%治療を受けているOSA患者図3 治療が必要なOSA患者数は約940万人と推定されているが,そのうちCPAP等の治療を受けているのは約65万人にすぎないといわれている3.約65万人治療を必要とするOSA患者約940万人いびきの減少酸素飽和度低下指数(ODI)の低下無呼吸低呼吸指数(AHI)の低下日中の過度の眠気の減少血圧の安定生活の質(QOL)の向上OSA患者のうち治療を受けている割合察し,全身の健康管理を行う職務を担っている.そのため,OSAの兆候やそのリスクを早期に発見し,医療機関で検査,診断および治療を受けるよう促し,長期的に治療を継続できるサポートを行う重要な役割を担っている(図4)4.歯科衛生士が,歯科医院における睡眠歯科治療で携わることのできるステップを以下に詳述する. いびきの指摘や眠気,起床時の頭痛などの自覚症状がみられる,歯科治療中にデンタルチェアでいびきをかいて寝てしまうなどの客観的兆候がみられる,肥満や小顎などOSAの外見的兆候がみられる,OSAに合併する基礎疾患がみられる場合などはOSAを疑う.ここでは,OSAのリスクを総合的図1 睡眠歯科治療はOSAの改善を通じて患者の睡眠の質,さらに生活の質を高め,健康寿命を延ばすことにつながる治療である1.OSAの有病率のうち80%は未診断図2 OSA有病率のうち,80%は未診断といわれている(図は,参考文献2より引用・改変).
元のページ ../index.html#4