る1.*1Apical Patency:根尖部に削片が蓄積しないように,細いファイルで根尖部を再帰ファイリングするテクニック.*2Pathfinder:根管を最初に穿通させるために用いる細い径のインスツルメント(ファイル).the Quintessence. Vol.44 No.4/2025—070393不十分な治療で終わってしまうことも決してめずらしくない通常,難しいとされる近心根を充填して遠心根は手つかず……隣接歯どうしが同じように治療され,同じように根尖病変ができてしまった…… 根管拡大は,髄腔開拡やレジンコアおよびメタルコア除去,根管口明示,根尖部まで穿通して作業長測定後に行うため,穿通できなければ根尖部までの拡大形成はできず,その部分は未処置となってしまう.しかし,根管の石灰化や湾曲などのため,穿通自体が困難なことも多く,不十分な治療で終わって日常臨床で見かける根管治療の例3か月前にセラミッククラウンで治療してもらった……?根管は見えるのに根管途中までしか充填されていない…… 歯内療法における“穿通”とは,一般的に根尖部表すものとして“Patency”や“Negotiation”,“Path-finding”などの用語が使用され,AAE(American patency*1とpathfinder*2について記載されてい1)穿通の目的とその問題点ABCD図1 患者が「3か月前にセラミッククラウンで治療してもらった」と言う,にわかに信じがたいものや(A),通常,難しいとされる近心根を充填して遠心根は手つかずのもの(B),根管が見えているにもかかわらず,途中までしか充填されていないもの(C),隣接歯どうしが同じように治療され,同じように根尖病変ができてしまっているもの(D)など,このような治療は決してめずらしいものではない.(根尖孔)までファイルが届いた状態を指す.穿通をAssociation of Endodontists)の用語集では,apical 1.穿通の概要
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