the Quintessence. Vol.44 No.4/2025—07247~8時間睡眠が2型糖尿病のリスクを最小にする時代をつかむトピックス糖尿病に強くなる4v疾患である糖尿病との科学的な関連も明らかになってきているのです. 2000年以降の疫学研究で,睡眠時間が糖尿病とかかわっていることが明らかになってきました.そして,信頼性の高い複数の報告を統合して統計学的解析を行ったデータ(メタ分析)では,睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクとの間に明確な関連があることが示されました1. 1日あたりの睡眠時間が7~8時間の場合に2型糖尿病のリスクがもっとも低くなることが示されてお 第3回(3月号)では,食後の眠気の原因として,“睡眠不足以外に”血糖値の乱高下がかかわっていることを書きました.しかし,実はこの“睡眠不足”自体も,糖尿病のリスクになっています. たとえば,翌日仕事で早起きしなければならないにもかかわらず夜遅くまでネット動画やスマホを見てしまい,その際,ダメとはわかりつつも甘いものを食べてしまうという経験をされたことはないでしょうか. すなわち,糖尿病管理において,このような過ごし方は,睡眠前の糖分摂取だけが問題なのではなく,これによって生じる睡眠不足そのものにもあるというのが,今月のお話です(図1). 最近の睡眠医学の進歩により,睡眠がもたらす脳への影響と,代謝性水谷幸嗣東京科学大学大学院医歯学総合研究科総合診療歯科学分野・講師2006年東京医科歯科大学大学院修了(歯学博士).ハーバード大学医学部Joslin糖尿病センターリサーチフェロー(2010~2012年),東京医科歯科大学歯周病学分野助教,講師を経て現職.日本歯周病学会専門医・指導医.図1 睡眠時間の不足や睡眠の質の低下が,糖尿病のリスクになっていることが明らかになってきた.114TOPICSTOPICSDiabetes睡眠不足は糖尿病管理を妨げる睡眠不足は要注意─糖尿病との意外なつながりのメカニズム─TOPICS
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