ザ・クインテッセンス 2025年5月号
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CBCTにより根尖病変の有無を確定させ,原因を推測する原因根管に向けて,補綴装置に必要最小限の穴を開ける根管内の感染を除去し,根管充填・CR充填ステップ1the Quintessence. Vol.44 No.5/2025—0891ステップ2ステップ3図1b 補綴装置に大きな問題がないこと,および歯根端切除術の適応症ではないことを確認する.原因根に対して必要最小限の窩洞を形成する.図1c 補綴装置内部の軟化象牙質の有無,歯根破折の有無を確認しながら,通法どおり根管治療を行う.根管充填後,窩洞にコンポジットレジン(以下CR)充填を行う.図1a 術前の検査としてCBCT撮影を行い,三次元的に骨吸収(病変)がある部位を特定する.原因根の根管の解剖・根管充填の状態などから原因(感染部位)を推測する.二根管,以下MB2)の存在,扁平な根管形態,湾曲,再植術)がある.歯根端切除術の適応症例であれば,要がある.また,ポストコア・ガッタパーチャ除去の際に象牙質切削は避けられない.穿孔のリスクはもちろん,薄い歯質が今後,歯根破折のリスクとなってしまうことが懸念される. 補綴装置を除去せずに根尖性歯周炎を治す方法としては,外科的歯内療法(歯根端切除術および意図的補綴装置に穴を開ける必要もなく,根尖性歯周炎の改善が期待できるため,歯根端切除術を行うべきである.しかしながら,全身的な問題,部位的な限界,根尖部以外の穿孔などがある症例では歯根端切除術は適応外となり,再根管治療を行う必要がある.そのような時に,問題がある根管だけを選択的に再根管治療を行うのが,本稿で取り上げる選択的再根管治療である(図1).35選択的再根管治療とは もっとも遭遇する例としては,上顎大臼歯の近心頬側根(mesio buccal root canal,以下MB根)に根尖病変があるが,遠心頬側根および口蓋根には根尖病変がない場合である.MB根は,副根管(近心頬側第器具の到達性が悪いなどの失敗する要因が多いためと考えられる.一方で遠心頬側根・口蓋根は,比較的丸い形態で湾曲も少なく,器具の挿入も容易であるため,成功しやすい根管であるといえる. 通常,再根管治療を行う際には,根尖病変がない根・根管でも,同時にポストコア・ガッタパーチャを除去し,再根管治療を行うことになる.病変のない再根管治療の成功率は非常に高いことが報告されているため予後に問題が生じにくいことがわかっているが,新たな感染源を入れないように注意する必

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