QA 第5回:接着・修復治療編02セラミックインレーやアンレーといった接着修復治療において,脱離してくる症例がたまにあります.自費治療なのでできるだけ脱離を防ぎたいのですが,どう工夫すればよいでしょうか?POINT1 接着修復治療が失敗した原因は? 脱離の原因として,接着の境界破壊(adhesive failure)が考えられます.セラミックス側か歯質側かによって対応は異なりますが,より陥りがちな歯質側の接着に関しては,IDSと防湿環境の構築が重要となります.本連載の趣旨:本連載では,主に卒直後から卒後数年の若手歯科医師が日頃の臨床で出会うであろう疑問点について,Q&A形式で解説していく.クエスチョンの分野は多岐にわたるため,その分野に造詣の深い“歯科医師の先輩”が各回でそれぞれ回答していく.(図1,2).しかし,正しいとされている操作で接物は,メタルインレーよりも早期に脱離が生じます着したのにもかかわらず,補綴装置が脱離してしまった経験がある先生も多いのではないでしょうか. 直接修復とは違い,間接修復では即時に象牙質接着を行えません.これが“接着”間接修復治療において,セラミックインレーやアンレーが脱離する一因となります.そこでこの問題を解決する方法の1つであるIDS(immediate dentin sealing)1を紹介します.キーワード: セラミック修復, IDS(immediate dentin sealing),防湿the Quintessence. Vol.44 No.5/2025—1018162162東京都開業 KAWAI DENTAL OFFICE 人形町連絡先:〒103‐0013 東京都中央区日本橋人形町3‐8‐2‐2F相談者S. Kさん31歳,勤務医回答者 川合宏樹 破折や脱離など,セラミックスを用いた接着修復治療における失敗の原因はさまざまです.大切なのはセメントに何を使うかではなく,メタルインレーとは異なる形成,クリアランス量の確保,防湿環境の構築,正しい接着処理など,それぞれのステップを確実に行っていくことです. そのなかでも,接着操作はとくにテクニックセンシティブといえます.誤った方法で接着された修復知りたいけど今さら聞きづらい疑問に答えます!Question &Answer歯科臨床STEP UPアドバイス
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