[ゆっくり],Low Pressure[弱い圧力])です. 小児の歯科治療は痛みを与えないことが第一です.一度痛みを感じてしまうと歯科治療が恐怖となり,以後の治療がうまく進まなくなってしまいます.しかし,なかには“注射”を見るだけで泣き出し,パニックになる子もいます.不安を取り除く言葉づかい,恐怖や痛みを感じさせない麻酔のテクニックで患児の協力度を上げることができれば,良質な治療を行えるようになるでしょう. 患児の不安を取り除く言葉づかいとして,日常的に慣れ親しんだ言葉に置き換える代用語を用いるのが有効です.“麻酔”は“歯を眠らせる”といった代用語を用いて,「バイキンさんをやっつけるために歯を眠らせるね」などと優しく声をかけるのがいいでしょう.表面麻酔剤 浸潤麻酔を行う際は,十分に乾燥させた粘膜頬移行部に1~2分表面麻酔剤を塗布します(図1a~c).小児にとって1分は長いと感じますので,塗っている間も「何のにおいかわかる?」「果物のにおいするかな?」などと,意識を口腔から“におい”に外方向化させると良いでしょう. 表面麻酔を塗布した後は,注射器を見せないように工夫し(図2a),刺入時の痛み緩和のため33~35Gと細い注射針を使用して,痛みを感じにくい粘膜頬移行部に弱い圧力で,声掛けをしながら時間をかけてゆっくり薬液を注入しましょう(図2b~d).小児の麻酔の基本は,GSL法(Gently[やさしく],Slowlythe Quintessence. Vol.44 No.6/2025—1149792)意識の外方向化3)GSL法を基本に痛くなく,よく効く麻酔を痛くない麻酔を行うには1)代用語の使用1不安を取り除く言葉づかいで声かけをし,痛くない麻酔をしましょう.小児の麻酔はGSL法が基本です.01 小児への麻酔が苦手です.怖がったり,少しの痛みでも泣きだしたりしてしまって…….うまくいくコツはありますか?図1a 歯科用表面麻酔剤はさまざまな香りのものが販売されているが,ジンジカイン(アミノ安息香酸エチル)ゲル20%(白水貿易)は,バナナの香りがする.香りは良いが,味が苦く刺激があるため塗布量は必要最小限にし,舌に触れないよう注意する.
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