類 1 ~ 3 が示され,またヒトの歯根吸収の病理組織所見や臨床所見が報告され,多様な報告は学会のステートメントとしてまとめることが試みられている 2 が,それらから歯根吸収への臨床的対応法は読み取りにくい. 本稿では,外傷を受けた根未完成歯に対象を限定して,臨床所見に則った歯根吸収の分類を提案し,治療法・対応法との紐づけを試みた.さらに,実験動物を用いた外傷損傷モデルにおける歯根吸収所見や歯根吸収の機序に関する研究などを参考に,歯根吸収に関係する課題や疑問に触れてみたい.はじめに特 集 2the Quintessence. Vol.44 No.7/2025—1364宮新美智世 歯の外傷は,とくに小児において頻度が高く,その後の経過において歯根吸収が観察されることがある.臨床における歯根吸収とは,歯根が外側または歯髄腔側から消失する過程を指し,歯の機能を失わせ,歯の喪失の危険にさらす異常である. 受傷後の定期診査では,歯根吸収は受傷 1 か月後から観察され始め,ときに月単位で急速に進行する場合がある一方で,受傷数年後に進む場合もある.ただし,受傷 1 年後のエックス線所見を見直すと,後に歯根吸収が進行する症例では,浅い吸収窩がすでにみられている場合が少なくない 1 ,2 . 現在,歯根吸収は,原因や病理所見に応じた分元東京医科歯科大学大学院小児歯科学・障害者歯科学分野分野長(准教授)連絡先:mmiyashin@outlook.jpClinical Aspects of Root Resorption in Traumatized Immature Teeth68Michiyo Miyashinキーワード:歯の外傷,根未完成歯,歯根吸収,歯根吸収窩処置,歯根吸収の予防外傷を受けた外傷を受けた根未完成歯に生じる根未完成歯に生じる歯根吸収の臨床歯根吸収の臨床
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