MRONJMRONJQ 1 - 1 :非骨露出型MRONJの診断と治療99Q 1 - 2 :非骨融解型MRONJの診断と治療Q 1 - 3 :MRONJの 新 しい分類法の提唱時代をつかむトピックスGPが知っておくべきMRONJへの対応4Q 1A 1非定型なMRONJの診断法や治療法,抜歯以外の侵襲的歯科治療の可否,その他多くの未解明な問題点が存在する1 )グレード 1(境界明瞭タイプ)2 )グ レ ー ド 2(び ま ん 性 進 展 タ終 回最し,MRONJにおいては現在, 進展度の分類(ステージ分類)があるのみで,各病変の生物学的特性を反映した質的な分類法はない.われわれは多数のMRONJの観察研究から,MRONJの質的な分類として次のような分類法を新たに策定した. 腐骨が分離している,あるいは完全に分離はみられないが骨融解部位の境界が明瞭なもの.約30%がこのタイプに属し,経口ビスホスホネート投与例に多い.腐骨除去で治癒が得られる.イプ) 骨融解の範囲が不明瞭で腐骨分離のみられないもの.約60%がこのタイプに属する.低用量,高用量デノスマブ投与のいずれでも生じる. 多くの場合は全身麻酔下で壊死骨に加え周囲の骨を切除する必要がある.具体的にはCTにおける骨融解部に加えて, 間隙型あるいは不規則型骨膜反応部 4 ,5 ,混在型骨硬化部 3 を切除範囲に含める必要がある. 第 1 回でも述べたが, 骨露出をともなわない場合には薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)とは診断されないが,骨壊死が広範に進行していることがある(図 1 ).こうした非骨露出型 MRONJの診断法と治療法の確立は今後の検討課題である. 図 1の症例では,厳重な経過観察を行っていたため,侵襲の低い下顎辺縁切除術で治癒が得られた.しかし, 従来のMRONJの診断基準は骨露出という臨床所見のみであるが,今後は骨露出がなくてもCT,MRI,PET,SPECT-CTな ど の 画 像 診断によるMRONJの診断基準を策定し早期に治療を行うことで,患者のQOLを低下させずに治癒が得られると考えられる. MRONJ 手 術 で は, 一 般 にCTなどの術前画像診断により骨切除範囲が決定されるが,最近ではCTで異常所見を認めない“非骨融解型MRONJ”が増加している 1 ~ 3(図 2 ). 骨融解をともなわないMRONJで は,CT 以 外 の 画 像 診 断 で あ るMRIのSTIR 画像やSPECT-CTを参考に病変の範囲を判断しているが,CT,MRI,SPECT-CTが示す範囲は異なることも少なくなく,骨切除範囲の決定方法は今後の検討課題である. たとえば悪性腫瘍の場合, 進展度の分類(ステージ分類)とは別に質的な分類(組織型など)があり,両者を基に治療法が決定される. しかMRONJ 治療について未解明な課題はありますか?TOPICSTOPICSTOPICS坂本由紀関西医科大学総合医療センター歯科・口腔外科部長梅田正博愛知学院大学歯学部客員教授/長崎大学歯学部客員教授岡山大学歯学部歯学科卒業,長崎大学大学院修了.日本口腔外科学会認定専門医,がん治療認定医,日本睡眠学会歯科専門医.東 京 医 科 歯 科 大 学(現,東京科学大学)歯学部卒業,神戸大学医学部大学院医学研究科修了.日本口腔外科学会認定専門医・指導医.the Quintessence. Vol.44 No.7/2025—1395MRONJの今後の検討課題TOPICS
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