ザ・クインテッセンス 2025年8月号
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 歯周組織再生とは,「歯槽骨,歯根膜および歯周病に罹患した歯根表面へのセメント質形成を含む歯の支持組織の再生が組織学的に認められること」1と定義される.しかしながら,実際の臨床では,歯根膜やセメント質の再生を確認する術はなく,アタッチメントゲインとエックス線写真における骨の増加で評価するしかない.そのため,私たちは歯周組織再生療法を行うにあたり,過去の文献での評価と自分の臨床結果を参考に材料・術式を選択していく必要がある. 歯肉剥離掻爬術後,歯肉弁を復位すると,欠損部に歯肉上皮由来細胞,結合組織由来細胞,骨由来細胞,歯根膜由来細胞がそれぞれ一斉に遊走・増殖を開始する(図 1 a).1976年,Melcherが「歯周外科手松延允資 歯周基本治療は歯周病治療の根幹をなすが,どれだけ質の高い歯周基本治療を行ったとしても,深い歯周ポケットや根分岐部病変など器具の到達が困難な場合には起炎物質の除去が不十分となりやすい.そのような場合は歯周外科治療の対象となるが,従来行われてきた切除療法では確実にポケットは減少するものの,術後の歯肉退縮によるさまざまな問題も生じてきた.また,深い骨縁下欠損に対して骨を切除し,ポケットを減少させるには限界がある.昨今,歯周組織再生療法が議論の的となっているが,過去から現在にかけて歯周組織再生療法は材料・術式ともに大きく変化してきている. そこで本稿では,歯周組織再生療法の変遷を振り返りながら,そのコンセプトについて整理したい.歯周組織再生療法の変遷はじめに福岡県開業 松延歯科医院連絡先:〒800‐0323 福岡県京都郡苅田町与原3‐8‐9特 集 2Organize the Concept of Periodontal Regeneration Therapy58Masayasu Matsunobuキーワード:歯周組織再生療法,骨欠損形態,エムドゲインthe Quintessence. Vol.44 No.8/2025—1584歯周組織再生療法のコンセプトを整理する

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