ザ・クインテッセンス 2025年8月号
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* 1 大阪府勤務 Nao 歯科・矯正歯科連絡先:〒530‐0001 大阪府大阪市北区梅田2‐2‐2‐4F* 2 東北大学大学院歯学研究科分子・再生歯科補綴学分野連絡先:〒980‐0872 宮城県仙台市青葉区星陵町4‐1CR 修復歯質削除量 6.8%~図 1 各種修復および補綴法における支台歯形成後の歯質削除量 1 .クラウン補綴62.8~72.1%新連載南野卓也* 1 /河阪幸宏* 2第 1 回 連載の目的と適応症の見極め 修復および補綴治療において,もっとも審美性に優れる材料はセラミックスである.天然歯に非常に近いその透明感は最大の美点であり,これを扱う歯科技工士の精緻な加工技術によって作り出される修復物および補綴装置には大いなる敬意を表すものである.しかしながら,セラミック修復は間接修復であり,技工作業が必要なことから,患者には複数回の来院が求められ,治療にともなう経済的負担も大きい.そして何よりも,間接修復は歯質のアンダーカットを許容できないため,ときに大きな健全歯質の削除を余儀なくされる(図 1).(minimal intervention:以下,MI)の理念に基づいてポーセレンラミネートベニア修復16.6~30.2% 現代の歯科治療はミニマルインターベンションおり,歯科治療のあらゆる分野にその重要性が見出されている.歯冠修復の分野においてMIは,コンポジットレジン(以下,CR)修復がその一翼を担っており,本修復法を用いることで健全歯質をほとんど削ることなく治療が可能である(図 1).以前のCR修復はその耐久性や審美性が問題視されたが,近年,CR 材料とその接着技術は飛躍的な進化を遂げ,ときにセラミック材料に匹敵する治療結果が得られるようになっている(図 2). すなわち, 現在のCR 修復はもはやセラミック修復の次善の策や安価な代替法ではなく,前歯部審美修復においても歯質保存と審美,機能性のバState-of-the-ArtAnterior Direct Restorations:Science, Art, and Perfectionthe Quintessence. Vol.44 No.8/2025—162397連載にあたって前歯部 CR 修復を極める

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