最大限保存することを考える必要がある.よって,フラップデザインを決定する際に筆者は,①歯根面および骨欠損へのアクセス,②歯肉弁および歯間乳頭への血流の確保,③歯間乳頭の保存の順番で考慮するようにしている. しかし,歯根面,骨欠損へのアクセスと歯間乳頭の温存は相反する要素であり,これらを確実に達成するためには,マイクロスコープ下における歯根面,骨欠損へのアクセスと歯肉弁,歯間乳頭への血流が歯周組織再生療法成功のポイントとなる11. そこで本稿では,歯根面,骨欠損へのアクセスと歯肉弁および歯間乳頭への血流の 2 つに重点を置き,歯周組織再生療法時に用いるフラップデザインの選択について解説したい.はじめにthe Quintessence. Vol.44 No.10/2025—2014Flap Design for Periodontal Regeneration Based on Blood Supply and Bone Defects36Yuichiro Iharaキーワード: 血流,骨欠損形態,フラップデザイン,Triangle Papilla Access Approach(T-PAA)井原雄一郎 歯周組織再生療法の成功には血餅の安定が非常に重要であり 1 ,血餅なしにはアタッチメントゲインが得られないといっても過言ではない.血餅を安定させるためには,歯間乳頭の初期閉鎖が肝要となり,歯間乳頭を保存するためのさまざまな歯間乳頭保存術がこれまでに報告され,臨床応用されてきた 2 ~10. しかし,歯間乳頭の保存を優先することで歯根面のデブライドメントと骨欠損内の炎症性組織の除去に苦慮することがある.歯周組織再生療法においては,細菌および感染の除去,すなわち歯根面や骨欠損へのアクセスがもっとも重要である.そのため,感染を確実に明視野下で除去したうえで歯間乳頭を東京都開業 井原歯科クリニック連絡先:〒152‐0035 東京都目黒区自由が丘1‐3‐16‐1F特 集 1血流 と血流骨欠損形態 から考慮する骨欠損形態歯周組織再生療法 の歯周組織再生療法フラップデザインフラップデザイン
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