は原因歯の特定や治療計画の立案に迷うことが多々ある. 近年,マイクロスコープやCBCTといった診断機器の進歩により,歯科医師の診断力は大幅に向上しているが,それでもこれらの検査結果は必ずしも明確な答を示すとは限らず,これまでは術者の経験によって培われてきた臨床的判断に委ねられてきた. そこで本稿では,“ 2 歯根尖含有病変 ”に焦点を当て,その検査,診断および治療計画の立案などの臨床的対応について考察していきたい.the Quintessence. Vol.44 No.10/2025—2030はじめに原因歯を特定するには? どのように治療計画を立てる?Clinical Considerations of an Extensive Periapical Lesion Extending Across Two Consecutive Teeth52Takuro Fujinoキーワード: 2 歯根尖含有病変,異所性瘻孔,根尖性歯周炎,逆行性インプラント周囲炎藤野拓郎 根尖性歯周炎の診断と治療方針の決定は,歯内療法を行うにあたって,つねに重要な課題といえる.とくに診断を難しくさせる病態は,患者が訴える部位以外にも病変が広がっている場合であり,読者の先生方も多く経験されているのではないだろうか. 上記のような,根尖病変が複数歯に及ぶ場合を“ 2 歯根尖含有病変 ” 1 と呼び,その診断は格段に複雑化し,従来のデンタルエックス線写真検査だけで神奈川県勤務 ヒロ横浜デンタル連絡先:〒221‐0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2‐20‐2‐3F特 集 22歯根尖含有病変への対応を考察する
元のページ ../index.html#3