図 1 a図 1 b 図 1 c蝕に罹患しやすい.そして乳歯はエナメル質,象牙質ともに永久歯の約 1 / 2 と薄く,エナメル質にいたっては厚いところでも約 1 mm 程度にすぎない 1 .そして,歯髄は髄角が突出しているため,治療の際に形成量が多くなると露髄に至りやすい.そのため,う蝕治療を行うべきタイミングは,永久歯よりも相当に早いと考えて診察を行いたい(図 3)2 ,3 . 乳歯う蝕においてどの基準で切削,修復処置を行うべきかについては,明確な基準が示されておらず,小児の生活習慣・う蝕リスクなどによって大きく異なる.う蝕リスクが高いと判断され,かつう窩が形成されていればエナメル質う蝕であっても切削する,と考える小児歯科医は多い 2 .the Quintessence. Vol.44 No.10/2025—2057791 )乳歯の解剖学的特徴1 .乳歯の歯冠修復の考え方不適切な歯冠修復がなされていた症例 現在,乳歯の歯冠修復でもっとも行われているのはコンポジットレジン(CR)修復であろう.一方,乳歯には既製金属冠修復やコンポジットレジン冠修歯には通常行われない修復も多く行われている.強調しておきたいのは,これらの独特の修復方法は,乳歯には安価な処置を行う目的で行われているのではなく,乳歯の特徴を踏まえたうえで適応されているということである. 釈迦に説法となってしまうが,永久歯と比べた乳歯の特徴を図 2に示す.そもそも永久歯と比べ乳歯は石灰化度が低く,酸に対する抵抗性が低いためう図 1 a~c 不適切な歯冠修復によって,ⒹⒹ根尖性歯周炎および Ⓓの歯肉膿瘍を生じていた.復(レジンジャケット冠ともよばれる)といった,永久
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