直接修復か間接修復か, 部分被覆か全部被覆か臼歯部修復における各種治療法のボーダーラインを探る34the Quintessence. Vol.44 No.11/2025—2226はじめに 直接法のコンポジットレジン修復(CR修復)から間接法のインレー修復,審美治療に用いるラミネートベニア修復,さらにはクラウン補綴に至るまで,現代の修復治療は,接着技術なしでは語れない.そして,「より削らず,より強固に.より低侵襲で,より予知性高く」という時代の潮流に後押しされ,接着技術は患歯にとって良好な予後をもたらすアプローチとして注目され続けている. 修復治療の本質的な目的とは何か.それは患歯が将来にわたって保存され,長期に機能し続けることだといえる.したがって,私たち臨床家は可及的に歯質温存に努めつつ,再介入の機会をできるだけ少なくすることが求められている. しかしながら,筆者自身も一臨床家として修復法の選択に迷う場面が少なくない.歯質,とくにエナメル質を可能な限り温存する治療法が本当に最適なのか? 脆弱な健全歯質はむしろ積極的に削除し,咬合面を被覆するほうが望ましいケースもあるのではないか? 窩洞の大きさによっては治療方法や材料の変更を検討すべきではないのか? 等々,自問することがある.症例に応じた適切な治療法の選択とは,単なる患歯の形態による分類ではなく,日常的な咬合力の負荷に耐えられるかどうかを基準にし特 集 1Exploring the Clinical Boundaries of Various Treatment Modalities in Posterior RestorationsShinya Iidaキーワード:修復治療,接着,インレー,アンレー,オーバーレイ,SFRC愛知県開業 いいだ歯科医院連絡先:〒462‐0026 愛知県名古屋市北区萩野通2‐10‐1飯田真也
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