Ⅰ□□□□Ⅱ□□□□□□□□□□□□□Ⅲ□□□□□□□□□ⅢはじめにStrategies for Dens Invaginatus: Practice of Diagnosis and Treatment54Takahiro Furukawaキーワード:陥入歯,Oehlersの分類,歯内療法古川尊寛 日々の臨床において,上顎側切歯の形態が,一見して正常でないことに気づくことがある.しかし大半は,矮小歯のような単なる形態異常歯とみなされ,そのまま放置されているのが現状である.もし,そのような形態の歯に遭遇したとき,われわれ歯科医師は 1 つの疑いをもつことが求められる.それが陥入歯である. 陥入歯は通常,エックス線写真によって発見され,歯冠部のエナメル質と象牙質が歯髄腔内に陥入し,歯冠部から根尖までさまざまな異常形態を呈する.その発生は,歯胚の形態分化期に,内エナメル上皮の一部が歯乳頭内に深く侵入,増殖することでthe Quintessence. Vol.44 No.11/2025—2246歯(dens in dente)とよばれていたが,現在では 1 歯生じると考えられている.過去においては,歯の中にもう 1 つの歯があると考える 2 歯胚説から,歯内胚説が通説となり,陥入歯(dens invaginatus)の名称が適切であるとされている 1 ,2 . その陥入歯は,構造上の欠陥から早期に歯髄内に感染が及び,歯髄炎や根尖性歯周炎になりやすい.そして,複雑な形状から歯内療法が困難になるケースも多く,処置が遅れると抜歯に至る可能性もある. 本稿では,われわれ臨床医を悩ませる陥入歯の基本的知識を整理したうえで,Oehlersの分類 TypeⅠ~Ⅲの上顎側切歯における 4 症例を供覧し,陥入歯の分類による診断とそれに則った治療戦略について解説する.特 集 2大阪府開業 ふるかわ歯科連絡先:〒544‐0014 大阪府大阪市生野区巽東2‐11‐23タイプ別に解説する〜その診断と治療の実際〜陥入歯の攻略方法
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