陥入歯の分類(Oehlersの分類)陥入歯の形態と組織学的特徴 陥入がCEJを越えて歯髄腔内に及ぶが,歯周靭帯との連絡がなく,根管内にとどまる.歯髄との交通がある場合とない場合がある. 陥入は根内部を貫通して歯周組織に到達している形状で,歯髄との交通はない.陥入部が歯根側方の歯周組織に貫通するタイプをⅢ a,根尖に貫通するタイプをⅢ bと細分化している.の(Ⅲ b)が存在するため,近年では元の分類を改変形態 陥入が歯冠内で制限されて, セ メ ン ト エ ナ メ ル 境(以下,CEJ)を越えない.特徴発生率図 1 Oehlersの分類.発表当時のOehlersの分類では 3 タイプに分類されていたが,近年ではType Ⅲを 2 つに細分化した 4 タイプでの分類が多用されている(参考文献 1 より引用,改変).the Quintessence. Vol.44 No.11/2025—224755Type Ⅲ a5 %Type Ⅲ bType Ⅱ79% Oehlersは,1957年に陥入の深度や歯髄との位置関係をもとに陥入歯を分類した.現在でも同分類がもっとも広く用いられている 1 . 元来のOehlersの分類では,歯軸方向への陥入深度によって 3 タイプに分類されていたが,TypeⅢは,歯根側面に貫通するもの(Ⅲ a)と根尖に貫通するもした 4 タイプの分類が多用されている(図 1 ). それぞれのタイプ別の発生率は,Type Ⅱが79%でもっとも多く,Type Ⅰが15%,Type Ⅲが 5 %という割合で観察されたと報告されている 3 .◆ Oehlersの分類Type Ⅰ15% 陥入歯の歯冠形態は,正常な外観を呈している場合もあるが,円錐形や樽状,または拡張した歯冠外形や誇張された基底結節の存在など,非定型の形態を示すことが多い. 舌側には小窩~裂溝上の陥凹として認められ,同部からエナメル質や象牙質が内側に陥入している.硬組織の陥入程度は,歯冠部に限局するものから歯根を貫き歯周組織に達するものまで存在する.陥入組織のエナメル質は石灰化度が低く,連続性が途切れ,一部欠落している場合もある.また,象牙質にも亀裂が存在し,陥入内部と歯髄が交通している場合もあると報告されている 2 .以上のような構造的欠陥から細菌が侵入し,歯髄感染が引き起こされる.
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