ザ・クインテッセンス 2025年11月号
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日常臨床での顎関節円板障害の治療選択とセルフケアこんなときどうする?口が開かない音が気になる70the Quintessence. Vol.44 No.11/2025—2262特 集 3 顎関節症の3大症状は痛み,雑音,顎運動障害であり,患者の訴えはそれらを反映したものが多いといえる.「口を開けると音がする」「口が大きく開かない」「口を開けるとき引っかかる」との主訴に対し,先生方はどのような治療法を選択するだろう.「音は消せないので様子をみましょう」「まずはスプリントを入れましょう」「口を開ける訓練が効きます」等々,いずれも保存的・非侵襲的介入で正しい提案である.では,その選択に裏づけはあるだろうか? どのようなメカニズムで,どのくらい奏功しそうだろうか? どのような治療法も100%正解ではない.しかし,患者個々の病歴,症状,寄与因子などを総合的に判断し,より予知性に優れた治療法を組み合わせて治療を行うことが,患者の満足度を高め,先生方の医療従事者としての営みをより充実したものとしてくれるだろう. 本稿では,顎関節症診療において高い割合を占める顎関節円板障害における治療選択について,いくつかの文献と自身の研究・臨床経験を踏まえて先生方にお伝えしたい.また,顎関節症診療においては病態やセルフケアについての患者の理解が重要であることから,患者説明の要点についても紹介する.Treatment Selection and Self-Care for Temporomandibular Joint Disc Disorders in Routine Clinical PracticeTadasu Haketaキーワード:関節円板前方転位,運動療法,関節可動域訓練長野県開業 羽毛田歯科医院連絡先:〒384‐1102 長野県南佐久郡小海町小海4283‐5羽毛田 匡はじめに

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