ザ・クインテッセンス 2025年12月号
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37the Quintessence. Vol.44 No.12/2025—2459 一方で,技術や材料の進歩により,従来は困難とされてきた症例に対しても治療介入が可能となってきた.結果として,1本の歯の保存,さらには歯列全体の保全および維持の可能性が増加し,患者のQOL向上に寄与できるようになってきた. 実際,8020推進財団による2018年度調査1では,歯の喪失原因の約66%をう蝕と歯周病が占める一方,過去の調査と比較するとその割合は減少している.しかしながら,2024年度厚生労働省歯科疾患実態調査2では55歳以上の約半数が4mm以上の歯周ポケットを有していると報告されており,歯周病は今なお主要な課題である.また,8020達成率は2005年の24.1%から2024年には61.5%へと増加しているが3,残存歯の多くが歯周疾患に罹患している可能性が示唆されている(図A〜D). このような背景の下,歯周治療はスケーリング・ルートプレーニング(SRP)から歯周外科処置まで多岐にわたり,近年では塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)を用いた歯周組織再生療法(以下,再生療法)も臨床応用されている.この再生療法は従来法とは異なる治療効果が期待されつつあり,今後の歯周治療の方向性を大きく変える可能性を有している.本稿では,再生療法の発展期における歯周治療の位置づけと課題について考えてみたい.歯の喪失原因の割合歯の喪失原因の変化8020達成者の推移図D 8020達成者の推移.2024年には61.5%に増加している(参考文献3より引用・改変).70.060.050.040.030.020.010.00.0(%)199310.9199915.3200524.1201138.3201651.2202251.6(年)202461.5う蝕29.2歯周病37.1破折17.8埋伏歯5.0その他7.6不明1.4割合(%)矯正1.9■う蝕 ■歯周病 ■破折 ■矯正 ■埋伏歯 ■その他 ■不明割合(%)2018年2005年29.232.337.141.717.811.45.07.612.51.41.91.20204060801000.9図A 2018年度版の歯の喪失原因の調査結果(参考文献2より引用・改変).図B 2018年度と2005年度における歯の喪失原因の調査結果の比較(参考文献2より引用・改変).4mm以上の歯周ポケットを有する者の推移70.060.050.040.030.020.010.00.0(%)15〜1920〜2425〜2930〜3435〜3940〜4445〜4950〜5455〜5960〜6465〜6970〜7475〜79(歳)80〜8485〜■2005 ■2011 ■2016 ■2022 ■202421.226.424.427.428.641.444.459.154.961.651.554545821.226.424.427.227.227.428.641.444.459.154.961.651.5545458図C 4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合の経年推移.2024年の調査結果では,55歳以上の約半数が4mm以上のポケットを有している(参考文献2より引用・改変).

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