デンタルアドクロニクル 2025
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――最後に、日本市場においてフロントランナーであり続けるための戦略や考え方についてお聞かせください。Rodighiero:歯科界の激しい競争のなかで生き残るためのデンツプライシロナ社の戦略として、3つの柱があると考えています。1つ目は、冒頭から強調しているように革新的な製品やサービスを開発し続ける「イノベーション」です。お客様のニーズを満たすような製品やサービスを継続して提供していくということが歯科界のフロントランナーとしての責務であると考えています。 2つ目は「教育」です。どんなにすばらしい製品やテクノロジーであっても、ユーザーが使いこなすことができなければ意味がありません。DS Worldをはじめ、我々が提供している教育や研修の場がいかに価値あるものかということをお客様に理解していただくための活動は、今後も継続したいと思っています。 3つ目は、歯科界を変革する「トランスフォーメーション」です。1つ目のイノベーションは製品やサービスを指しますが、トランスフォーメーションは既存の製品やサービスを活用して歯科界全体を活性化していく考え方です。もちろん、これはデンツプライシロナ社だけでは実現することができないので、関連パートナーと協力・連携し、歯科界の発展のために取り組んでまいりたいと考えています。――本日はありがとうございました。迫りくる高齢化と人材不足世界を取り巻く課題への対応27デンツプライシロナが目指すDigital Dentistryの未来  巻頭特集2てはデジタルデンティストリーの進展がいえます。歯科医療の効率化によって患者さんの治療時間が短縮されるメリットがあり、先進国をはじめとして世界的に進んできています。 日本のデジタル化は欧米に比べて少し遅れていますが、保険導入されたCAD/CAMインレーの光学印象に用いる「デジタル印象採得装置(口腔内スキャナー)」が6月1日から新たに保険適用となったこともあり、口腔内スキャナーの導入率が飛躍的に上がってきたことはとても喜ばしいことです。 Milz氏が先ほど述べていたように、私たちが目指すデジタルデンティストリーはデジタル関連の装置単体ではなくて、それぞれデジタル化したものを一つに統合したワークフローにしていくことですし、それが実現できるソリューションを提供しています。そのコアとなる製品がPrimescan2であり、DS Coreのプラットフォームなわけです。――世界における歯科を取り巻く環境の変化についてはいかがでしょうか。日本においては特に高齢化と人口減少が進んでいます。Milz:ヨーロッパにおいては、日本と同じように高齢化への対応が課題の1つとして挙げられています。高齢化にともない、歯科治療の対象者が増えるということになります。日本では予防歯科が注目されていると思いますが、年齢を重ねると口腔機能が低下してきますので、義歯が必要になったり、欠損部にインプラントを埋入したりするケースも必要になってきます。もう1つは、日本が直面している喫緊の課題であるように、人口減少によるスタッフの人材確保という点が挙げられるでしょう。 歯科医師だけでなく、特に歯科技工士の数が足りなくなってきています。その人材不足を補填する方法の1つがデジタル化の推進だと考えています。先ほどRodighiero氏が述べたように、デジタル化によって従来行っていた業務のスピードアップや自動化にもつながり、よりシンプルなワークフローを行うことができますし、少ない人数で効率的に作業できるということがデジタル化のメリットです。ただ、導入コストや操作性などに不安を抱くユーザーも少なくありません。デジタル化を推進する企業の立場として、デジタル化へのハードルをできる限り下げるという対応についても考える必要があります。 日本は多くの歯科医院において、歯科用X線CT装置を導入していると思います。今後、デジタル化をより推進させるための1つとしてDS Coreを導入することで、口腔内スキャナーや歯科用X線CT装置、3Dプリンターなどが連携できます。そして同じプラットフォームでデータを共有できるようにすることで、歯科医院と歯科技工所、そして患者さんにもメリットとなるデジタル化の拡張によって効率的なワークフローが可能となります。

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