デンタルアドクロニクル 2025
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Quint DENTAL AD Chronicle 202534【歯科医師紹介】山崎史晃 Fumiaki Yamazakiやまざき歯科医院有床義歯学会会長予想以上に高かった歯科用3Dプリンターの精度最初に、これまでに行ってきたデジタル化に向けた取組みをお聞かせください咬合採得ができていなければ、デジタルデンティストリーの良さは活きないと考えています。 そのデジタルデンチャーですが、日本で最初にデジタルデンチャーの加工が可能なミリングマシンが販売されたのが2018年でした。早速、そのミリングマシンを購入したのですが、そのころは日本で購入できるデジタルデンチャー用のディスクの種類が少なく、また、CADソフトウェアの機能が限定されていたことでエラーも多かったことから、うまく臨床に組み込むことができませんでした。 その後、2020年に米国のシカゴで開催されているMidwinter Meet-ingのデンタルショーで、ミリングから3Dプリントにデジタルデンチャー製作の主流が変化していると感じました。実際、私自身もミリング加工でデジタルデンチャーの製作をしていくなかで、高額なCAD/CAM用ディスクの材料費に苦労していたこともあり、帰国後、日本で購入可能な3Dプリンター「カーラプリント3D 4.0」(クルツァージャパン、アキュプリント3D 4.0プロの旧モデル)について調べました。すると、ミリングでは上下顎総義歯を製作するための材料費として2万円かかっていたのが、3Dプリンターであれば2千円で製作できるとい山崎:私が最初にデジタルデンティストリーに触れたのは、2013年に阿部二郎先生(阿部歯科医院、有床義歯学会名誉会長)と一緒にドイツに行ったときになります。その際、オールデジタル化している歯科技工所に見学に行ったのですが、そこが絨毯張りのきれいな歯科技工所で、「こんな世界があるのだ」と驚いて、デジタルデンティストリーに興味をもちました。 そこから、今後の歯科界は確実にデジタル化が進むだろうと考え、帰国後にCEREC Omnicam(デンツプライシロナ,モリタ)を導入しました。ですが、実際に使用して分かったことは、デジタル機器はありのままにしか再現してくれないということです。歯科技工士の方たちのように、歯科医師の失敗をフォローしてくれるわけではないことを学ぶことができたCEREC Omnicamでした。 これは、クラウン・ブリッジ分野だけではなく、遅れてデジタル化が始まった義歯の分野でも同様です。やはり義歯であっても、完璧な印象採得・Q1歯科医院でここまで活用できる!歯科用3Dプリンター最新事情× 山崎史晃 × 石川航生

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