ナー矯正治療のエキスパートや補助装置の開発者、Ravindra Nanda氏(米国・コネチカット州立大学)などの歯科矯正学の大家を招き講演会を行ってきた本研究会であるが、今回の海外演者は9名で、特にアジア各国(韓国、台湾、タイ、ベトナム、インド)から多く演者を招聘し、形状記憶樹脂を用いたアライナー矯正治療を語る「Shape Memory Aligner Asian Summit 2024」が注目を集めた。そのうち、アウトソーシングアライナーを用いた治療のエキスパートとして本研究会ではお馴染みのNarandr Chevangkul氏(タイ開業)は、近年手掛け始めた院内製造のシェイプメモリーアライナーによる矯正歯科治療について説明した。アタッチメントをアライナー自体に設けることができることから、アタッチメントの摩耗による矯正力の低下や、アタッチメント設置によるエナメル質の喪失が回避できることを同治療のメリットとして挙げた。そして、「われわれは矯正歯科のトレンドセッターとなるべきであり、現在そのキーとなるものがシェイプメモリーアライナーである」とした。また、Ki-Beom Kim氏(米国・セントルイス大学)は、温湯に浸された形状記憶樹脂がどのような機序によって元の形状を取り戻すのか、また、樹脂の形状記憶機能が、歯冠とアライナーの適合の程度、把持力および矯正力に関してアウトソーシングアライナーと比これまでも世界各国からアライら古くなってしまう」を挙げ、では自分のアライナー矯正治療の次の10年を考えたとき、インハウスアライナー、しかも形状記憶樹脂を用いた「シェイプメモリーアライナー」にたどり着いた旨を述べた。本会では、新しい樹脂材料、AI(人工知能)を有するソフトウェア、3Dプリンタの三つ巴が成すインハウスアライナー矯正治療に取り組んだこの数年間の成果を尾島氏および演者らが聴衆に共有することによって、これからの10年に向かって新しい矯正歯科治療の扉が大きく開けられた。形状記憶機能により歯冠に継続して同じ大きさの力を与えられるシェイプメモリーアライナーの優位性について述べるKi-Beom Kim氏(米国・セントルイス大学)。シェイプメモリーアライナー臨床で何をすべきで、何をすべきでないかについて述べるSoo-Jin Kim氏(韓国・Graphy社臨床開発員)。シェイプメモリーアライナーがもたらす新しい歯の移動機構shape driven systemの可能性について述べるRavindra Nanda氏(米国・コネチカット州立大学)。厚さの変更など、インハウスアライナーの自由度について語るRekha Bharadwaj氏(インド・ラガス歯科大学病院)。インハウスアライナー矯正治療のみを行っており、高質な3Dプリンタを用いてこそ高質なアライナーが作れると述べるViê■t Hoàng氏(ベトナム・ヴァンラン大学)。48アジアのパワー、日本のパワーJAAO2024Main Speakers
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