Tera Harz Smart Robotは、さらにインハウスアライナーの勢いを加速させるのにひと役買うと考えている。アライナー矯正治療を行う者であれば、一度は「最初に立てた治療シミュレーションどおりに、最後まですべての歯が完璧に動くのだろうか?」と疑問に思ったことがあるだろう。かつて「どれだけ口腔内スキャンをし直さずに、最初のスキャンだけでアライナー矯正治療を終えられるか」がトピックとして議論された時期があったが、実はこれを考えることはナンセンスである。なぜなら、治療開始前にどれだけ精密にすべての治療ステップを考えたとしても、顎位や顔貌、軟組織は治療の途中でつねに変化するものであり、これまでのアライナーであればその変化を反映せず(できず)に治療を終了することになるからである。実際に、企業依頼型のアライナー矯正治療を行っていた時期は、1人の患者の治療を終えるまでにスキャンを複数回行うことが多かった。こ◦初診時から2〜3か月までの期間のみの歯の移動計画とステージングを考えてアライナーを製作することができる◦治療途中の顎位をそれ以降の治療計画に反映できる◦アンフィットを恐れることなく積極的なステージングを行うことができる◦そもそもリカバリーの必要性が少なく、行ったとしても早期に終了できるえば、2024年9月に開催されたイタリア矯正歯科学会(SIDO)ではアライナーの企業がメインスポンサーを務め、同年11月のサウジアラビア矯正歯科学会(SOS)ではすべてのメインスポンサーがアライナーの企業であった。に進化しており、より正確で効率的にアライナーを歯科医院内で内製化することができるようになっている。われわれがSMAを導入した当時の3Dプリンタは、アライナー1枚をプリントするのに90分もかかっていたが、2024年に導入したUNIZ UBEE(コアフロント社)はプリント時間が30分と短縮されたうえ、表面が滑沢で未重合が起こりにくく、丈夫であるといったより質の高いアライナーをプリントできるようになった。このように機器の進化は目まぐるしく、各企業の開発努力もあって今後も進化し続けることが考えられる。科学会(AAO)で初公開したアライナー製作ロボット・◦初診時から最終目標までのステージングを一度に考えて◦初診時の顎位が変わらないことを前提に治療計画が立◦治療途中でアンフィットが起こらないようにするため、セ◦リカバリーに時間がかかるインハウスアライナーの製造技術および材料は急速また、前述のGraphy社が2024年のアメリカ矯正歯アライナーを製作する案される。途中で顎位が変わっても治療に反映されないグメントトゥースムーブメント(1歯ずつ移動を分けるステージング)が多くなる52Sophia, BULGARIA - September 28Seoul, KOREA - October 9Firenze, ITALIA - October 19Bengaluru, INDIA - September 20Dr. Kenji Ojima's Aligner journey in 2024Korean Association of Orthodontisis(KAO)58th Indian Orthodontics Conference (IOC)Italian Society of Orthodontics (SIDO)17th International Sofia Dental Meeting技術革新と進化にあと押しされるインハウスアライナーの勢力拡大見直されるアライナー矯正治療の常識―― ステージングの変化フレキシブルステージングインフレキシブルステージング
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