デンタルアドクロニクル 2025
57/180

インプラント埋入が先か? 矯正が先か?インプラントの埋入位置を決める3つの要素とは?歯科界大注目スタディグループ2025  巻頭特集3医院理事長能制御補綴学分野歯学博士OFFICE 開設[Profile]2007 年 日本歯科大学歯学部卒業2018 年〜   医療法人社団OHP あんざい歯科2020 年  神奈川歯科大学社会人大学院咀嚼機2025 年  医療法人社団 OHP OHP DENTAL 安斉昌照氏尾島賢治氏矯正治療終了後に,GBRをしたほうが効率がいいのか?55ケットを使った矯正にしてもアライナー矯正にしても,アンカーを使って,どこまで歯を動かせるのか,先にアンカーを入れたほうが有利なのか,不利なのかといった問題が出てくると思うのですが,先生ご自身が戦略的なプランニングを立てる能力を持ち合わせているかというのも大事です. 3つ目はGBRの手技を有しているかという点です.シミュレーションでインプラントを埋入するポジションがわかっても,骨が足りない場合,GBRをしないといけません.ところが,GBRができるテクニックがないと,骨すらもマネジメントできません.そこで,まさに安斉先生が現在執筆中のGBRの書籍の内容とつながってくるのではないでしょうか.安斉:私の書籍の宣伝までしていただき,ありがとうございます.ある状態で,歯根を当てていくのは矯正的に非効率だと思います.矯正治療を阻害しない素材があるのでしたら,そちらのほうがベターかなと思います.安斉:逆にいうと,矯正治療が終わってからGBRをしたほうがより効率的で理に適っていると考えたほうがよろしいですか.尾島:その考え方には2つパターンがあって,今まではGBRが先で矯正治療が後でした. しかし,今は昔のようにパノラマX線写真の二次元だけで診断していた頃と異なり,CT撮影により三次元の立体として歯根が写し出され「骨がどれくらい足りないのか」「どれくらい骨を作らないといけないのか」がひと目でわかるようになりました.昔のインプラント治療をやっていた頃と一緒です.シミュレーションソフトで事前に診断することができるので「矯正を始める前に,先に骨を足したほうがいいよね」と提案されてもいいと思いますし,もしくは矯正が終わってから必要なところに移植するのもいいと思います. そのため,一概にどちらが先がよいかとは言えず,ケースバイケースだと思います.安斉:確かにそうですね.尾島:また,患者さんにはあらかじめGBRを矯正治療の前後に2回するというのを伝えていたほうが,先生も患者さんも楽だと思います.矯正治療が終わったときに,もしブラックトライアングルがあったり,リセッションしているのも,そこをGBRでカバーすることさえ可能です.安斉:わかりました.さきほどのインターディシプリナリーの話に戻るのですが,たとえば,インプラントを最初に埋入しないといけないとか,ミニスクリューを使って歯を動かすこともあると思います. その際,アライナー矯正での歯の移動を阻害しない状態であれば,①先にインプラント埋入を積極的に行ったほうがいいのか,それとも②ある程度埋入する位置が決まってから適切なところにインプラント埋入するのがいいのか,どちらのほうが効率いいと思われますか.尾島:結論からお話すると,先にインプラントポジションを決めて,インプラントを埋入し,そこをアンカレッジにして歯を動かすと,垂直的なサポートを得られるので,間違いなく②のほうがいいです.この治療内容で進めるには3つの要素が必要です.安斉:なるほど.尾島:1つ目はシミュレーションです.われわれの医院ではシミュレーションソフトを用いて最適な埋め込み位置をシミュレーションし,高い精度のサージカルガイドを作ったりしています. 2つ目はプランニングです.ミニスクリューではなく,ファイナルのインプラントを入れる場合,マルチブラ

元のページ  ../index.html#57

このブックを見る