デンタルアドクロニクル 2025
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デジタルとアナログの両方の強みを生かした歯科治療が今後求められる歯科界大注目スタディグループ2025  巻頭特集357療計画を立てる際はデジタルを取り入れるべきだと強く思います. 先日,矯正の症例発表会を聴講した際,参加者から「これでは拡大しすぎではないか」「歯を動かすことで歯根の形が変化するのではないか」といった指摘する方がいたのですが,山﨑長郎先生が「CTと連動しているソフトでみればそんな話は必要ない」とおっしゃっていました.山﨑先生は日頃われわれとコラボレーションしてNemoを使われているので,シミュレーションソフトの良さを理解されています.安斉:すべて目に見えて,視覚化できるということですか.尾島:そのとおりです.ビジュアライズ化できるのがデジタルなので,安斉先生の治療の中にデジタルの要素を取り入れると,もっといい治療ができるのではないでしょうか.安斉:患者さん情報を一元化して,より質の高い歯科医療を提供したいと思っていたので,バラバラなデータがひとつの縦軸になる点が,たいへん理想的だと痛感しました.——本日は貴重なお話をありがとうございました.ほうがうれしいわけです. たとえば,前歯だけを動かすといった簡単な症例を多くやっていただき「うまくいきました!」とのよい感想をたくさんお寄せいただいたほうがビジネスとしてはいいので,いくらドクター側の要望を企業側に伝えてもダメです.ドクターはよりよい治療を望むのですが,企業側は安全で簡単で,利益率の高いものを提供したいので,そこは必ず相反します.しかし,両者の利害が一致するものがあります.それが“インハウス”なのです. ここでひとつ例え話をしたいと思いますが,安斉先生は何か運動をやっていましたか?安斉:水泳とマラソンとトライアスロンをやっています.尾島:3つもスポーツをされているのですか! 鉄人ですね(笑).たとえば,マラソンに参加する際,ランナーにはいろいろなルールや取り決めがあると思いますが,それと同じで企業に依頼して作成するアライナーは企業のルールに従わないといけません. しかし,インハウスの場合,内製化なので,ルールは先生ご自身で決められます.私も数年前から企業依頼型からインハウスに切り替えて行っていますが,インハウスだと,「ここまでをやりたい!」と思ったらやることは可能です. いま,世界の矯正学会の動向に注目してみてみると,“インハウス”がトピックの1つになってきているのを肌で感じます.安斉先生も導入されることをぜひおすすめします.安斉:すべてデジタルに移行したほうがいいのでしょうか.尾島:デジタルがイコールよくて,アナログイコールダメではなくて,よく山﨑長郎先生がおっしゃるのは「同じことをやっていたとしても,要所要所にデジタルをとり入れないとダメ」だということです.たとえば,14枚法のX線フィルムの場合,拡大することができないので,細かいところまでは見えません.そのレベルの画像診断で留まっていては進歩しません. デジタルのいいところは,バラバラなコンテンツをすべて統合できる点です.歯のデータ,STLのデータ,歯根のデータ,それに顔貌データをくっつければ,どこがベストなスマイルラインで,どこが移動限界か,骨がないのはどこなのかがすべてわかるので,治

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