前歯部審美インプラント治療におけるエマージェンスプロファイルとエマージェンスアングル共著:奥田浩規(歯科医師)/伊藤彰規(歯科技工士)軟組織(2mm以上)硬組織(2mm以上)深度(約4mm)TEA(50°以内)現時点での筆者らの見解 (硬組織2mm、軟組織2mm)・インプラントの深度は3~4mmQDT Vol.49/2024 May page 0536図14 筆者らが考える理想的なインプラントポジション。・インプラント軸が舌側にくるように配置・インプラント体の周囲組織Topic 12024年5月号掲載(前編)2gence Angle:ムコサールエマージェンスアングル)の角度が大きく(40°以上)なると、プラーク停滞の原因となり、インプラント周囲粘膜炎の発症リスクが上がるため、注意が必要である。TEA(Total Emergence Angle)とインプラントポジションに対する考察 図15は理想的なインプラントポジションのエマージェンスアングル=TEAと、TEAを小さくするためにインプラント埋入位置やインプラント径をアレンジした場合の図である。赤の角度はインプラントが適正位置に埋入された状態(A)のTEA、B~Dの黄色の角度は、それぞれの条件におけるTEAになる。 このように、B~DはTEAを小さくすることは可能だが、生物学的条件を達成できなかったり、構造力学的な問題が発生したりするジレンマに陥る。よってTEAは、Lopsらが述べている50°以内を目標として、生物学的・構造学的に許容できる範囲内でアバットメントを製作できれば臨床上の問題はないと考えている。 また、MEA・DAはインプラント周囲粘膜炎、イン プラント周囲炎の発症因子に関連するため、できる限り40°以内を目標としている。エマージェンスプロファイルおよびエマージェンスアングルにおける見解 エマージェンスプロファイルについて筆者らは、Steigmannらの考えのもと、Gomez-MedaらのEBCコンセプトをアバットメント形態として踏襲することが多い。 インプラントの埋入位置が理想的(図14)なスクリューリテインインプラントの上部構造の場合、エマージェンスアングル=Rungtanakiatらの定義するTEA(Total 程度になることになる(図15のA)。サブクリティカルカントゥアは、プラットフォームから約1~1.5mmはストレートに立ち上げることで、DA(Deep Angle:ディープアの骨吸収のリスクが低くなると考えられる。クリティカルカントゥアへの移行部は、アバットメント周囲組織の厚みを考慮しながら基本的にはコンケイブなS字状の形 クリティカルカントゥアはインプラント上部構造のサポートとプラークの侵入を防止するため、コンベックス形態(約1mm)としている(図12参照)。しかし、コンベックス形態が過度になり、MEA(Mucosal Emer- 理想的なインプラントポジションFeature article #2Emergence Angle:トータルエマージェンスアングル)は45°ングル)の傾斜角が小さくなり、プラットフォーム周囲態(約2mm)で製作する。44Feature article(特集)で臨床に 「使える」 pick uparticlepick uppages
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