QDT ダイジェスト見本誌2025
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ステップを追ってポイントを押さえているから、そのまま 「使える」 。実践できる。aaabbb6まとめQ3 なぜ上顎では前方からトレーを圧接するのか?Q4 なぜ下顎では閉口させてトレーを圧接するのか?A3A4QDT Vol.50/2025 February page 0221p070-077_QDT02_BPS.indd 752025/01/0875連載 義歯臨床の成功率を高めるBPS─その理論とテクニックを整理する─松田謙一(歯科医師)/桑名勇至(歯科技工士)“なぜそうするのか?”“○○しやすくするため”理由付きだから、わかる。身につく。身につけば、ずっと 「使える」。第2回 概形印象印象材の練和~口腔内への注入・圧接後方から圧接した場合前方から圧接した場合気泡を後ろへ逃がせる下顎骨と舌骨の距離が近くなる下顎骨と舌骨の距離が離れる閉口開口開口時閉口時に説明できる術式が採用されている点が重要で、多く 前方から圧接することにより、口蓋部の気泡を後方へ逃がすことができるとともに、過度の加圧を防ぐことができるため(図17)。 閉口させることにより、口唇や頬粘膜の緊張を緩めて印象域を広げることが可能になることに加え、口腔底部への延長も行いやすくなるため(図18)。今回から、いよいよ具体的な術式についての解説をTopic 22025年1月号~掲載中(全15回予定) 下顎も同様に、頬側は左右側それぞれでレトロモラーパッド部外側から前方へ向かって注入する(図14)。舌側については基本的に注入しないが、前歯部顎堤が高い場合には舌側前方部のみ印象材を満たしておく。その後、舌を避けてトレーを口腔内に挿入し、おおよその位置合わせを行った後、患者に閉口を指示し、閉口に合わせて軽く圧接して硬化まで保持する(図15)。            * 以上が術式となるが、大切なのは“なぜそうするのか”という問いに対する論理的な理由を明確にして行うことである。76~77ページに概形印象の手技に関するQ&Aを示す。印象材は混水比が低いため、スパチュラで練和する際には、初めはゆっくりと混ぜ合わせ、おおむね混ざってから速度を上げて練和するように心がける。練和完了後、トレーに盛り付ける際は、軽く盛り付けた後に流水下で成形し、上顎は若干前方を多く、下顎は前後にフラットに盛り付けるようにする(図11)。 続いて、シリンジを用いて口腔内に印象材を注入するが、上顎であれば左右どちらかの上顎結節の外側から正中まで注入後、反対側も同様にし、さらに口蓋前方の深い部位にも注入しておく(図12)。その後、トレーを挿入して前方から圧接を開始し、トレー後縁か気泡が残りやすいら印象材がわずかに溢れ出るのを確認した時点で圧接をやめ、硬化まで保持する(図13)。気泡が残りにくい図10a、b シリンジ用印象材を練和し(a)、スパチュラを用いてシリンジの後方から填入する(b)。図11a、b トレー用印象材を練和し(a)、トレーに盛り付ける(b)。図12a、b シリンジを用いて、印象材を前庭部の後方から前方へ向かって注入する(a)。さらに口蓋の深い部分にも注入しておく(b)。第2回 概形印象図17 トレーを後方から圧接すると、どうしても口蓋の深い部分に気泡が残りやすい。前方から圧接することにより、口蓋部の気泡を後方へ逃がすことができる。図18 閉口させると、口唇や頬粘膜の緊張が緩むとともに、下顎骨に対する舌骨ならびに周囲組織の位置が下がるために、口腔底部への延長も行いやすくなる(イラストは参考文献1より引用・改変)。APPE_p070-077_QDT02_BPS.p6.pdfpick uparticlepick uppages長期連載で1テーマの理論と手技を  

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