*昭和大学歯学部口腔生化学講座/*1江本歯科医院/*2斉田歯科医院/*3曽根田歯科診療室/*4プレミアムデンタルケア恵比寿・代官山/*5吉野デンタルクリニック塚崎雅之*/江本 元*1/斎田寛之*2/曽根田皓士*3/髙井基普*4/吉野 晃*5はじめに 患者は37歳,女性.重度歯周炎に罹患し,₁には10mmの歯周ポケットが存在しました.同部位からの細菌検査(リアルタイムPCR法)により,P.g.菌は検出されましたが,対総菌数比率では1.69%と低い値を示しました.GPの臨床上の疑問に基礎研究者が答える!GPが知っておきたい!骨免疫・歯周病のバイオロジーに関する12の疑問細菌検査で悪玉が少ないのに歯周病が進行する場合があるのはなぜか? 歯科臨床は生体を扱う科学だが,その基盤となる細胞生物学や生化学などの基礎科目は,臨床家から往々にして敬遠されがちだと感じる.教科書を開いても内容があまりに広範かつ詳細であり,臨床と直接的に結びつかないことが原因ではないだろうか. 一般的な生物学や医科学の理解はもちろん重要だが,患者の口腔と日々対峙している歯科臨床家(以下,GP)にしかもちえないユニークな疑問も数多く存在し,GPが“知っておきたいバイオロジー”は一般的な教科書に記載されている内容と必ずしも一致しないだろう. そこで本稿では,GPが歯科臨床に直接的にかかわる生物学的な疑問を12個提示し,基礎研究者である筆者(塚崎)が考察を加えることで,明日からの臨床のヒントにつながるような対話を目指す. ab(塚崎雅之) Shibaら*1によれば,より精度の高いRNA検査による重度歯周炎では,約15%のP.g.菌が検出されたと報告されています.悪玉菌が少ないのに歯周病が進行する場合があるのはなぜでしょうか?6the Quintessence 2025 ダイジェスト見本誌図1a,b 患者は37歳,女性.年齢などを考慮して重度歯周炎と診断した.初診時にもっとも進行していた₁遠心の細菌検査を行った.P.g.菌は検出されたものの,対総菌数比率は低い値を示した.質問者:斎田寛之特 集 2Question01
元のページ ../index.html#6